雑多庵 ~映画バカの逆襲~

管理人イチオシの新作映画を紹介するブログです。SF、ホラー、アクション、コメディ、ゲーム、音楽に関する話が多め。ご意見・ご感想、紹介してほしい映画などあれば「Contact」からメッセージを送ってください。あと、いいお金儲けの話も募集中です。

最近は個人的に忙しかったり、4月から身辺がいろいろ変わったりで更新が滞っていた。
映画の感想書くのってけっこう面倒なんすよ・・・

で、今回は映画のスケールについて書こうかなと。

というのも、最近見た二本の映画を見て「スケールの大きい映画」とは何かを何となく考えたんですよ。

映画は金をかけて特殊効果をてんこ盛りにすれば「大きく」なるのか?
雄大な自然を画面いっぱいに映せばいいのか?
そうとも限らないんだよ!!

お金をあまりかけずにスケール感を出している二本の作品を紹介してみる

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一本目は『マジカル・ガール』

タイトルは「魔法少女」
『おジャ魔女どれみ』とか、『魔法少女まどかマギカ』、「プリキュアシリーズ」に出てくるアレ

Magical Girl

事の発端は女の子が「魔法少女ユキコ」のレプリカ衣装を着たいと言い出したこと。
女の子の父親は白血病で余命いくばくもない娘のために衣装を買おうとするが、失業中かつ、娘の治療費による出費で効果な衣装を買う余裕がない。資金繰りに困っていた父親だったが、ある女性と出会ったことから事態は思わぬ方向へ・・・

ネタバレをせずに書こうとするとこの程度の紹介しかできない。
出だしは難病ものっぽいのだが、よくある娘のために頑張るだけの話ではない。かなり特殊な映画だと思う。

冒頭からある程度映画に見慣れた人は不思議な感覚があるだろう。その原因は引きの画が少なく、説明的なカットも極力排除されていることによる。セリフでも説明はほとんどされず、会話と人物の行動によってバックグラウンドを妄想させる演出が全編にわたって展開されている。
”男が古本屋に本を売りに来ている。本が安く買いたたかれると、本の文学的価値について話し始め、もっと高く買うように言い始める。”この一連の流れだけで、男が金に困った教養のある人間だとわかる。割と普通の表現だと思うが、ハリウッド映画ではわかりやすさを優先するのでこうはならない。

父親がゲロぶっかけられたシーン(上から降ってくるゲロ!)から一気に『ブルー・ベルベット』的な変態世界が垣間見えてくるのも面白かった。あくまで「垣間見える」程度なのがポイントで、世界に潜む変態どもが築いたシステムの深さを妄想させてくれる。

この妄想を促させる情報量のコントロールは映画ならではの表現手法だと思う。映画は映像と音を作り手がコントロールした時間感覚で提示できるメディアだが、その解釈は観客の想像力に依拠している。カットが細かく分かれていても、言葉で説明されていなくても状況が理解できるのは、ひとえに人間の想像力の豊かさによるのだ。提示された情報に対してどれだけ妄想を巡らせられるのかが、映画のスケール感を高めることにつながると思う。
スクリーンに映せる大きさなんてたかが知れているのだ。だから、どんなに巨大な物体を見せられても、その大きさに想像力を巡らせられなければスケールの大きいものにはならない。どれだけ壮大な大河ドラマでも歴史をなぞっただけではダメ。

本作の面白い点に日本の映画やアニメからの影響もあるのだが、これに関しては様々なメディアで言及されているのでここでは扱わない。個人的に後半で登場するジジイのカッコよさにグッと来た。スーツがキマるジジイはかっこいいとよくわかったので、自分もこういうジジイを目指したいと思う。
恐らく多くの人がエンディングでポカーンとするだろうが(自分も含む)、序盤から様々な情報が提示されているので、繰り返し見ることで理解が可能ではなかろうか。まだ一回しかみていないので何とも言えないが、そういうものだと思わせるだけのスケール感が本作には確かにあった。


二本目は『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』

夜の高速道路を一台の車が走っている。
運転している男はトム・ハーディ演じる主人公。
本作の画面に映る登場人物は彼のみ。他の登場人物は電話越しの声のみで一切画面に映らず、車の中でのみ86分の映画が展開される。

Locke

『マジカル・ガール』と同じく、説明的なセリフではなく、状況によって徐々に明らかにしていくスタイル。

主人公には彼の帰りを待つ家族がいる。
息子はサッカーの中継を父と観ることを楽しみにしているのだが、主人公が向かっているのは家族のもとではない。

主人公は行先はロンドンであり、家族ではない女性のもとへと向かっている。
一度きりの不倫相手が自分の子供を出産するというのだ。ロクデナシだった父親との違いを証明するためにも主人公は子供を認知するつもりだ。

主人公は建設会社に勤めるベテラン現場監督である。
明日は会社にとっても重要な大規模工事の現場監督をする予定だったのだが、出産が早まったために、現場を放棄してロンドンに向かっている。当然、上司からの電話が鳴りやまない。だが、主人公は仕事を放棄したわけではない。現場には立たないが、主人公は明日の工事を成功させるつもりだ。そのためにも部下に的確な指示を与えなければならない。

こういった状況を少しずつ会話の中で理解させていくのが非常に上手いのですよ。
会話とトム・ハーディの表情だけといっていいような映画なのに、不思議と飽きないのもスゴイ。
徹底して主人公個人の問題を描いているにも関わらず、映画としてのスケール感を持ち得ているのは、さっきも書いたバックグラウンドへの想像力を働かせる余地があるからだろう

トム・ハーディがずっと車に乗っている映画といえば、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だが、本作ではトム・ハーディがセリフで「そうさ、俺はイカれて(MAD)いるぜ!!」という場面がある!!状況に対処し続ける人物を描くという点では、本作とマッドマックスは似ている映画といえるかもしれない。アクションで進行するのか、セリフで進行するかの違いである。トム・ハーディのファンならばどちらも必見の作品だ。

 

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