雑多庵 ~映画バカの逆襲~

管理人イチオシの新作映画を紹介するブログです。SF、ホラー、アクション、コメディ、ゲーム、音楽に関する話が多め。ご意見・ご感想、紹介してほしい映画などあれば「Contact」からメッセージを送ってください。あと、いいお金儲けの話も募集中です。

アニメーション映画で重要なのは高揚感というか、なんかすげえもん見た!ってなる瞬間じゃないかと思っている。今回紹介する二本はその意味ではかなりすげえ瞬間があり、アニメーションだからこそ表現できるものに挑んだ傑作。 

特に「レゴバットマン」は最近のアメコミ映画の中では断トツの出来なのでぜひ見てください!!

で、『夜は短し歩けよ乙女』。

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森見登美彦の代表作として知られる原作を、同じく森見登美彦原作の『四畳半神話大系』や『ピンポン the Animation』、『マインド・ゲーム』、クレヨンしんちゃんシリーズの作画、『八犬伝 新章』第四話作画監督などで知られるアニメ界の鬼才、湯浅政明が監督。湯浅監督は来月も劇場作品が公開され、Netflixでデビルマンをアニメ化新作を制作するなど今一番勢いのある監督と言えるだろう。

この原作・監督の組み合わせに加え、四畳半神話大系でキャラクター原案を務めた中村佑介が続投、主題歌にASIAN KUNG-FU GENERATION、主演に星野源という20代女子をピンポイントに狙った企画。実際、劇場には20代の男女が多い印象。

基本的には「四畳半神話大系」とテイストが近く、森見登美彦の濃ゆい作品世界を湯浅監督の独特のセンスで描いたビジュアル的な楽しさを楽しむことができればかなりハマるだろう。後半にかけて加速していく過剰なまでの情報量(セリフも絵も)、小ネタをぶっこみまくる背景美術、アニメならではの自由さで変形し、歌って踊るキャラクター、そしてクライマックスの物量とどこまでもアニメーション映画の楽しさを追求したアニメーション映画だ。

マニア的には大平晋也、松本憲生といった一流原画マンの参加が気になるところ。特に大平さんは独特なリアル系作画をする人なので、一見してこの人だ!とわかるインパクトがある。「ピンポン」のオープニングを手掛けたり、「八犬伝 新章」四話を演出をするなど湯浅監督との縁も多い。本作ではクライマックス近辺を描いているのではないかと思う。

超絶カットが連発する大平晋也MAD


ビジュアル的なテンションの高さももちろんだが、声の出演もとにかくハイテンション。特に四畳半神話大系でも出演していた甲斐田裕子、檜山修之、吉野裕行、諏訪部順一らのハジけた演技は必聴だ。絶妙なニセモノ感のニセ城ケ崎先輩は爆笑もの。とりあえず見ろ!

次は『レゴバットマン ザ・ムービー』

the-lego-batman-movie-poste

作品自体は大傑作だったが、日本版予告があまりにひどかったためか日本ではあまりヒットしなかった印象の『レゴムービー』のスピンオフ企画。レゴの世界を通して描いたバットマンの批評であり、これもまたアニメーションの楽しさに満ちた傑作。

ビジュアル的に注目すべきは画面のすべてをレゴで作ったように見せているところ。キャラクターから建物、爆発エフェクトに至るまですべてがレゴでできているから驚く。3Dのアニメーションで制作しているそうだが、コマ撮りで撮影されたように見えるように絶妙にピントをぼかしたり、中抜きの動きにしているところがミソ。メカが変形して別のメカに変形していく様子なんかはレゴ遊びをしたことがある人にはとても楽しい光景ではなかろうか。全編にわたってレゴっぽい動き(としか表現できない)で動くのを見ているだけで楽しい映画だ。

個人的に注目してほしいのは、本作はバットマンを批評したものになっていること。

バットマンと言えば、両親を強盗に殺されて以後、大企業の社長として世間の注目を集めているブルース・ウェインが夜な夜なスーツを着て街の悪党を成敗しているヒーロー。だが、冷静に考えれば、あのスーツを着て深夜に悪人といえども人をボコボコにして、普段は豪邸に引きこもっている人間なんて異常者だ。本作ではその点を掘り下げていく。

世間ではヒーローとして注目されるも、家に帰れば独り。巨大な地下施設ではSiriが友達。豪邸で夕飯のロブスターを一人で食べ、ホームシアターでラブコメを一人で見る。ヘビィメタルのギターを一人で弾いているもまた孤独な人間によくみる光景(お前のことだろ?って声がどこからか聞こえてくる・・・)。

そんな彼の生きがいは悪党退治。今日も街を救ったぜ!悪党ジョーカーが「お前の最大の宿敵は俺だ!」とか言っていたが、お前なんか俺の人生に関係ないね!といってやったら泣きそうになってやがんの(笑)だが、そのジョーカーがいなくなったら?悪党が街から消えたら?後に残るのは「異常者バットマン」だけである。

本作ではバットマンとは何か?ヒーローとは何か?を深く考えたうえでコミカルなレゴのアニメーションとして描いたファミリー向けかつ大きなお友達向けのエンタメ作品だ。悪党いて、仲間がいてこそのヒーローをジョーカーとの関係、ロビンとの出会いを通して描く。しかも、今までの映画、テレビシリーズなどのネタをふんだんに盛り込んだバットマンシリーズ全体をパロディにしているのも面白い。後半ではさらに進んで配給のワーナーブラザーズの他の映画のネタをぶっこみまくるというお祭り映画にもなっている。

声の出演(吹き替え版で見ました)としても山寺宏一のバットマンの芸達者ぶりはもちろんだが、ロビンの小島よしおがかなり良かった。彼の持ちネタがナチュラルに入れ込まれているのも吹き替え版ならではの面白さだと思う。あと、小島よしおの見た目とロビンのルックスが被る瞬間が笑えます(笑)

とにかくお勧めなので、見てくれ!!映画の作り方としても劇場で見たほうが面白いです!!
 
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