雑多庵 ~映画バカの逆襲~

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今回は筋肉とオヤジと人体破壊が見たいという健全な欲望を持った皆さんにお勧めの作品です。

タイトルの『ローガン』はマーベルコミックスのX-MENに登場する鉤爪おじさんこと、ウルヴァリンの名前でございます。

演じるは実生活では愛妻家、子ども好き、超いい人で知られるも、映画の中ではやたら脱いだり暴力振るったり、強面の悪い奴を演じることも多いヒュー・ジャックマン。ウルヴァリンは彼の当たり役であり、世界的に有名になるきっかけとなった役だけに、X-MENシリーズにはほぼ前作出ていたのですが、ついに本作でX-MENシリーズからの引退宣言をしています。

最初に作られたX-MEN(2000年)から20年近く続いているシリーズのメインキャラの幕引きはいかに?

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X-MENシリーズとは?

特殊能力を持って生まれた人間の特異体(ミュータント)はその特殊性ゆえに迫害の対象となってきました。多くのものは能力を隠して普通の人として過ごそうとしていました。そんな中、資産家の息子で、自らも強力なテレパシー能力を持ったプロフェッサーXは世界中からミュータントを集めて学校を作ります。「恵まれし子らの学園」と名付けられたこの施設では迫害されてきたミュータントたちが能力を隠すことなく伸び伸びと過ごせる環境を目指していました。

しかし、迫害されてきたことで「普通の人間」に憎悪の念を抱いているものも少なくはなく、ミュータント至上主義!能力のない奴には死を!と極端な行動に出始めるものも出てきました。この勢力を率いていたのがプロフェッサーXの親友だったマグニートーだったのです。すべての人の共存を望んでいるプロフェッサーXはX-MENと呼ばれるミュータントチームを結成し、復讐の鬼と化したマグニートーとの長い長い戦いを始めるのでした。果てしなきマイノリティーの融和と弾圧を巡った闘い、これがX-MENシリーズの基本構造です。

あらすじ
時は2029年。ミュータントは死に絶えつつあった。

闘いで消えていったものもいれば、弾圧されたものもいるが、10年以上新たなミュータントが現れていないのがその大きな原因だ。恵まれし子らの学園は閉鎖され、プロフェッサーXは90代を迎えて半ばボケ老人と化し始めている。世界中のミュータントの声を聴くほどの強力なテレパシー能力の持ち主がボケ始めているのだから危なっかしく、発作的に時々能力を暴走させて死人も出てしまう始末。今はメキシコ国境沿いの廃工場にて投薬で発作を抑えつつ、仲間からの介護を受ける生活だ。

一方のウルヴァリンことローガンはリムジンの運転手で日銭を稼いでプロフェッサーXを匿っている。X-MEN時代からプロフェッサーとはケンカばかりで何度も放校になっているが、幼い時に親を亡くしたローガンにとってプロフェッサーは父親のようなものだ。だから、なんとか金を貯めてヨットを買い、廃工場から出ようとはしているものの、現実はそう甘くはない。

おまけにローガンは持ち前のどんな傷でも治す驚異の再生能力が衰えており、その影響で100年近く歳をとらなかった肉体もすっかりオヤジのそれとなった。仲間が消えていったこと、日々の生活への焦燥感などから酒浸りの日々を送る姿にヒーローの面影はない。

ある時、ローガンは少女を連れたメキシコ人の女性に出会う。彼女は少女をアメリカの北のはずれ、カナダの国境にほど近いノースダコタに送ってほしいと言う。最初は嫌がるローガンだったが、少女を突け狙う謎の組織に追われる形で送り届けることに。物言わぬ少女はローガンの言うことを聞かず、面倒なガキにしか思えなかったのだが、少女は10年ぶりに現れたミュータントだった。それもローガンと同じ、再生能力とアダマンチウム鋼の鉤爪の持ち主だった。

バイオレンスが詰まってます
本作が他のX-MENシリーズと大きく異なる点にR指定の作品であることが挙げられます。
通常、アメコミ大作はPG-13でしか作られません。これは単純な話で、R指定だとファミリー向き映画にならないからです。レイティングを上げるとそれだけ逃すお客も減るってことで、大作はPG-13以下に抑えることが要求されています。しかし、R指定であっても『デッドプール』の大ヒットがあったりもするので大人向けでも大きな売り上げは期待できます。

そういうわけで、R指定で制作された『ローガン』ですが、ファーストカットの初セリフが「Fuck」であるあたり、大人向け映画宣言をしているようなものです(アメリカではFuckを使うと問答無用でR指定となります)。

初セリフがFuckかと思えば、開始5分以内に腕チョンパが見られるから驚きます。その後も顔面に鉤爪をグサッ!心臓にグリグリッ!首チョンパ!ショットガンで顔面破壊!気の杭で串刺し!といったアグレッシブで痛さ満点のゴア描写が全編で見られる非常に楽しい映画となっております。普段言えないFワードをここぞとばかりに連呼するローガンにも注目です。

↓ローガンでの殺しっぷりは日本未発売のゲーム『X-Men Origins Wolverine』に近いものがあります


アメリカ映画の強い構造

非常に楽しい映画であるとは書きましたが、ローガンの落ちぶれっぷりにヒーロー映画?となってしまう人もいるでしょう。

序盤からチンピラにからまれてボコられた末に爪で反撃するも、かつての素早い動きは失われ、全体的にもっさりとした動きです。足の調子も悪いのか、引きずるようにして歩くし、再生能力が落ちているので傷も完治しません。いつもならば瞬殺できる人間たちとの戦いでもボロボロになりながらやっとのことで倒します。スマホの字も見づらいのか、ローガンが老眼鏡をかけるという高度なギャグまで披露してくれます。

そんなオヤジが少女のために戦うことで真のヒーローへと変化していくのです。
ヒーローとは私欲を捨てて行動するもののことです。そのためには死も受け入れなければならない。
これまでのシリーズで死なない身体だったローガンは完全なヒーローになる機会がありませんでした。でも、今回は違う。本作のローガンは有限の命を意識しています。

少女を救うことでヒーローとなっていくプロットは先日紹介した『無限の住人』とよく似ていますが、実際に見てみると映画の構造の強度が全く違うことに気づかされました。

プロットはよく似ていても、ローガンはヒーローの再起に対して、アメリカの唯一の歴史にして、神話である西部劇と重ね合わせることをやっています。自国の歴史であり、アメリカ娯楽映画の原点を援用することで歴史の重みを付加することに成功しています。しかも、ここで引用されるが『シェーン』というのもニクい。

歴史に加えて、今のアメリカのイメージを加えていることも大きなポイントです。アメリカの思惑で生まれた子どもがメキシコから入国し、カナダまで逃げていく姿は報道でよく耳にする話とそっくりです。

こうした自国の歴史や現状を漫画原作の娯楽大作に持ち込み、しかもそれを説教映画にするでもなく、暴力満点のエンタメ映画として成立させてしまうところにアメリカ映画の力強さを感じました。やっぱりアメリカの脚本家は優秀です。

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