雑多庵 ~映画バカの逆襲~

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今回はフランス映画。ジャック・オーディアール監督・マリオン・コティヤール主演の『君と歩く世界』です。


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ストーリーは簡単に言ってしまえば、事故で両足を失った女性とシングルファザーで裏のボクシング試合をやっている男が出会って、いろいろあって結ばれる。という感じです。こう書くとありきたりな恋愛映画と思われるかもしれませんが、実際に見ると印象は異なります。甘ったるい雰囲気はほとんどなく、現実的な辛さや男女の関係、貧困などが容赦なく描かれています。普通の恋愛映画の展開を期待してみると、裏切られます。「えっ、そうなっちゃうの!?」という場面が何回かありました。詳しく書くとネタバレになるのでやめておきますが、いい意味で驚きをもたらしてくれました。

原題は「RUST AND BONE」。直訳すれば「錆と骨」ですが、意味はボクサーが殴られて口内で出血したときの味なんだそうです。ボクサー崩れの男は劇中で何度も血だらけになりますし、傷つきつつも、苦難を乗り越えていく男女の物語にはぴったりなタイトルともいえるでしょう。

実は、この映画も原作ものでして、クレイグ・デイヴィッドソンの短編集の別々の話を一本の映画向けに脚色したものです。原作ではどちらも男が主人公でしたが、男女にすることでより深いドラマになったと思います。

主演のマリオン・コティヤールはフランス人で、近年は『インセプション』や『ダークナイトライジング』などのハリウッド大作映画に多く出演し、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』でアカデミー主演女優賞を受賞しています。フランス映画なので当然ながら、フランス語をしゃべっています。英語が堪能な彼女ですが、母国語のほうがやはり自然ですね。ほぼスッピン状態で出演しているのは驚きです。やっぱり美人なのが良くわかりますが。表情を含めた彼女の演技に注目です!

観る前に気になったのは、人間ドラマのような本作がR-15指定なのはなぜか?ということ。まぁ、グロい部分はほとんどない(足が手術で切られてしまった後の描写がありますが)ことを考えると・・・この先は見て確かめましょう。無修正ですw

男の目を引き付けるのに快感を覚える、高飛車なシャチ調教師の女が事故にあって会うようになるのは、子連れの貧乏なボクサー崩れの男。子供への接し方がわからず、暴力やセックスでしか自分を表現できないような人間。身体的な要素ばかりの男と障害を抱えている女という組み合わせは、『最強のふたり』を連想させる(こちらはどちらも男)かもしれないが、軽快なノリが人間ドラマにも影響してしまって軽薄になっていた『最強のふたり』よりも、人間のダメな部分も描いて見せた本作の方が心を動かされるはず。
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