雑多庵 ~映画バカの逆襲~

管理人イチオシの新作映画を紹介するブログです。SF、ホラー、アクション、コメディ、ゲーム、音楽に関する話が多め。ご意見・ご感想、紹介してほしい映画などあれば「Contact」からメッセージを送ってください。あと、いいお金儲けの話も募集中です。

先日のフライトに引き続き『ジャンゴ 繋がれざる者』についてです

世界一のオタク監督クエンティン・タランティーノの最新作は初の西部劇にして彼の映画では最大のヒット作となりました。

話はシンプルで、舞台は南北戦争以前のアメリカ南部。黒人奴隷のジャンゴがドイツ人の元歯科医で賞金稼ぎのキング・シュルツに助けられ、生き別れになった奥さんを助けるために二人で白人を殺しまくるという話。

予告編


奴隷制度はアメリカの影の歴史として映画で描かれることがほとんどなかったのですが、奴隷たちがいかに酷い目にあっていたかを本作ではしっかり描いています。女子供関係なく鞭打ちにし、脱走すれば犬に喰わせ、奴隷同士を死ぬまで戦わせるなどキツイ場面が前半では連続します。特にレオナルド・ディカプリオ演じる奴隷農場の主人カルビン・キャンディは極悪非道の限りを尽くします。Negger(日本語で言う「黒んぼ」、「クロ」。黒人同士なら気安い呼び方ですが、黒人以外が言うと撃ち殺されるので決して使わないように!)が100回以上使われる本作は批判もされていますが、それも監督の思惑。アメリカ人が目を背けてきた歴史への議論を呼び起こすことこそが本作の目的なのです。

こう書くと社会派作品のようですが、そこはタランティーノ。最高のエンターテイメントに仕上げています。後半でジャンゴがカルビンの屋敷で繰り広げる血みどろの銃撃戦はマカロニウエスタン好きにはたまりませんし、虐げられた黒人が逆襲する様はキツイ場面があっただけに気分爽快です。

第85回アカデミー脚本賞を受賞した本作は、同じく助演男優賞を受賞したキング・シュルツ役のクリストフ・ヴァルツが出演することを想定して作られています。それだけにキング・シュルツは主役級の大活躍。ジャンゴを鍛え、ともに戦う彼はとても魅力的なキャラクターです。ちなみに、タランティーノも出演していますが、オイシイ死に方をするのでここも注目ポイント。CGは使っていないと豪語していました!

タランティーノはやたらマニアックな昔の映画のネタを組み合わせて作るのが特徴ですが、今作でベースとなっているのは『続・荒野の用心棒』と『マンディンゴ』、71年の『黒いジャガー』をはじめとするブラックスプロイテーション映画です。ジャンゴという名前は『続・荒野の用心棒』のフランコ・ネロ(ジャンゴにも出てきます!)の役名ですし、黒人が悪い白人を倒すのはブラックスプロイテーションの特徴です。『マンディンゴ』はアメリカで初めて奴隷制度をまともに扱った映画。これらの映画を予習してから見るのが理想ですが、とりあえず下の動画を見ていればノリはつかめます。

『続・荒野の用心棒』(どこが「続」なんだ!?)のトリビュート動画


3時間近くある長い映画ですが、あまりダレずにラストはスッキリと終わるのでお勧めです。
ただ、血まみれ(R-15)なので苦手な人は注意
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

トラックバック