雑多庵 ~映画バカの逆襲~

管理人イチオシの新作映画を紹介するブログです。SF、ホラー、アクション、コメディ、ゲーム、音楽に関する話が多め。ご意見・ご感想、紹介してほしい映画などあれば「Contact」からメッセージを送ってください。あと、いいお金儲けの話も募集中です。

ディズニーの新作『アナと雪の女王』の大ヒットで『ロボコップ』が惨敗となり、傷心な管理人ですが、今回紹介するのは『ローン・サバイバー』です。米海軍の精鋭部隊Navy SEALs史上最悪の犠牲を出した「レッド・ウィング作戦」を映画化した特殊部隊ものの戦争映画です。

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あらすじ
2005年、アフガニスタン山岳地帯でのこと。イスラム過激派武装組織タリバンの幹部の暗殺のため、四人のSEALs隊員が潜入する。作戦は順調に進んでいたが、民間人と接触してしまったことで事態は予想外の展開へ。彼らを殺害するか、逃がすかの決断を迫られたのち、隊員たちは逃がすことを選択する。案の定、逃がした少年によって報告されてしまい、200人のタリバンの部隊に包囲されることとなる。激戦の結果、潜入した隊員のほとんどは戦死。この映画は最悪の状況からただ一人生還したマーカス・ラトレルの報告である。

君は選べるか!?
本作で描かれる決断はグレーゾーンとしか言えないものです。民間人と接触して拘束したはいいものの、「縛り上げておく。その場合は民間人は凍死するか狼に喰われるか」「開放する。その場合は200人のタリバン兵士に追撃される可能性大」「民間人を殺害して作戦を続行。後々国際問題となる可能性あり」という三つの選択肢から選ばなければならなくなります。どの選択をしても正解とはいえず、民間人に少年と老人がいたから一層殺害する選択をしにくい状況。しかも山岳地帯だからか、無線の状態が悪く、司令官から指示を仰ぐこともできません。もちろん隊員内でも意見が分かれます。最終的に選んだのが二番目の選択肢ですが、生き残ったマーカスさん曰く「後悔は全くしていない」とのこと。

サラウンド音響による戦場感
民間人を逃がしたことで200人のタリバン兵士との戦闘になるわけですが、この戦闘シーンのすごいこと!ゲームの「コール・オブ・デューティーシリーズ」に出てきそうな強烈な場面の連続は自分が戦場にいるかのような気分にさせてくれます。この臨場感はアカデミー賞にノミネートされた音響効果によるところが大きいです。サラウンド音響で聴くと、銃弾が四方八方から飛んでくるのが分かって思わず危ねぇ!と避けたくなること必至。大きな音量だと爆発音にかなり驚かされますので、サラウンド音響&大音量の映画館で観ることをお勧めします。本作は観る環境によって受ける印象がかなり異なると思います。

SEALsとは?
本作で活躍するSEALsは米海軍の精鋭部隊で、志願してきた兵士のほとんどが入隊訓練のあまりの過酷さに耐えかねて脱落していき、最終的に残るのは志願者の1割ぐらいという部隊です。その訓練内容には手足首を縛られた状態でプールに投げ込まれ、20分間耐えるというものや、波打ち際に低体温症ギリギリまで寝かされたり、チームで丸太を担がされてほとんど不眠状態で何日も運ばされるというものがあります。この訓練は精神的・体力的な強靭さを試すとともに、自分よりもチームを優先した行動ができるかを見抜くことを目的としています。こうしてSEALsに入隊した人々は固い絆で結ばれ、チームのためなら死を恐れません。最近ではタイトルそのままの『ネイビー・シールズ』が現役の隊員が出演して制作され、どちらも実話ベースの『キャプテン・フィリップス』や『ゼロ・ダーク・サーティ』の終盤でもSEALsは精鋭部隊のすごさを見せてくれています。『ローン・サバイバー』では無駄弾を撃たずにヘッドショットでタリバンを排除していくところにプロの仕事ぶりを感じます。

背景となること
アフガニスタンの武装勢力がこんなに武器を持っているのは何故かと疑問に思う方もいると思います。驚くかもしれませんが、アフガンに武器が多くなったことに実はアメリカが加担しているのです。そのきっかけが旧ソ連がアフガニスタンの内紛に軍事介入した「アフガン侵攻(1979~1989年)」です。当時は米ソ冷戦の最中だったことから、米軍は反政府勢力側に資金や武器の援助を行い、ソ連を撤退させました。その後は反政府勢力側だった人々が政権を握るわけですが、その人々が後のタリバンです。米軍は戦後に即時撤退してしまい、援助したロケット砲やその他の銃器の回収は十分に行われませんでした。戦後教育も民主化運動もほとんどしなかったがために、一部の過激派の人々が若者をテロリストとして教育し、アフガニスタンを恐怖で支配するような国としてしまいました。アフガン紛争でのアメリカの失敗は『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』でも描かれていることです。アメリカはテロ攻撃を受けましたが、その原因の一つををアメリカ自身が作ったことは間違いなく、自らがもたらした武器によって自分たちの兵士を失うこととなっているのは紛れもない事実なのです。

監督はあのトンデモ映画の・・・
監督は俳優でもあるピーター・バーグ。この人、ついこの間『バトルシップ』というトンデモSF大作を撮って大コケしてしまったことで有名なんですw あのバカ映画を撮った人と同じ監督とは思えないぐらい良い映画に仕上がっている本作ですが、軍事オタクの監督はずっと前から本作を撮りたがっていたらしく、脚本を自分で書いて当事者たちにも密着取材するほどの熱意で取り組んだとのこと。『バトルシップ』はやりたくてやった仕事ではないのだなと理解できます。

男泣き必至
戦争描写の強烈さだけですごい映画だと思いますが、仲間たちがチームのために戦い、倒れていくのが男泣きをさせてくれます。部隊長を演じたテイラー・キッチュは前述の『バトルシップ』や『ジョン・カーター』といった大コケ大作に連続して主演してしまい、他人の僕が心配になるほどでしたが、本作では男泣きを誘うカッコイイ役を演じています。部隊長が死ぬ場面もまた難しい選択の結果なだけに哀しい。崖から転げ落ちたり、銃弾を受けたりしてボロボロになっていく男たちの姿を見るだけでも痛々しいのに、仲間が死んでいくのだから泣けてきます。そして、マーカスさんがいかにして生き残ったかが分かる後半の展開は、本作が大政翼賛的な映画ではないことを分からせてくれ、真の勇気とは何かを伝える深い感動をもたらします。それに、絶望的な状況下でも目の前の敵を倒して生還しようとする兵士のマインドはカッコイイですな!そう、一流の兵士は敵を倒すことに戦うことに迷いはないんです!個人的に同様のマインドが描かれている戦争映画の傑作『プライベート・ライアン』や『ブラックホーク・ダウン』に並べてもいいぐらいの作品だと思っています。

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