マッドマックスは最高過ぎてあと二回は劇場で観ておきたいと思っているのだが、三池崇史の監督作、しかもオリジナル脚本で極道ものとなったら見るしかない。
マッドマックスも狂っているが、極道大戦争もかなり狂っている!
三池監督と言えば、Vシネマ界隈で名をはせ、現在はメジャー作品を年に何本も手掛けるような早撮りかつ量産タイプの仕事人。現役の日本人監督で海外で名が知られている人はほんの数人しかいないが、三池監督は国際映画祭の常連でもある有名人。量産タイプとはいえ、個々の作品で必ず個性を発揮する瞬間がある作家性の強い監督でもある。
その作家性と言えば、徹底的に速い勢いのある展開だったり、激しい暴力演出の中に笑いが混在している謎のユーモア感覚などがある。山本英夫の超絶バイオレンス漫画『殺し屋1』の映画化の際にはタイトルを精液のなかから浮かび上がらせ、『悪の教典』の場合はサイコパスの教師が生徒を虐殺していく場面にギャグを混ぜるなど、シャレにならないことをシャレにしてしまう狂ったセンスの持ち主だ。
そんな三池監督の新作『極道大戦争』はどこまでも狂ったカオスな映画だ。
はっきり言ってむちゃくちゃすぎてわけわからん。だが、それがいい!
ストーリーを書きだしてもなんだそれってなるし、観ていても予測不能すぎで謎すぎるために何度もポカーンとさせられる。
まず、オープニングでいきなりリリー・フランキー演じるヤクザの組長がカチコミをかけている。ドスで刺されつつも、日本刀で応戦し、ターゲットのピエール瀧をバッサリ!これ以降、ピエール瀧は出てこない笑 そして、外国人二人組の殺し屋に殺されてしまうリリー・フランキー。彼は死の間際に子分の市原隼人に「極道ヴァンパイアの道を行け!」という言葉を残し、首筋に噛みついた!なんと、リリー・フランキーはカタギの血をすすって生きる極道ヴァンパイアだったのだ!カタギから搾取することで生きるのがヤクザだが、本当に生き血をすすって生きる極道ヴァンパイアは血を吸ったカタギを極道に変えてしまうという無茶設定。勢い余って市原隼人がカタギの血を吸いまくってしまったがためにネズミ算的にシマに極道が増えてしまう。最終的にはシマにいる人ほとんどが極道になってしまってヤクザが収入源を無くすという笑
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この映画、やたらと濃ゆい顔の俳優たちを脇役にも投入しまくっているので、けっこう濃い顔のはずの市原隼人が主演なのに普通に見えてくるという無茶苦茶なキャスティングをしている。でんでん、高島礼子、渋川清彦、『ザ・レイド』のマッドドッグことヤヤン・ルヒアン、『TOKYO TRIBE』で動きまくりのアクションをやっていた坂口茉琴がまた男の子役で出演(本人は女子高生)とこれだけでもわけわからん状態。今回のヤヤンはいわゆるオタクスタイルで現れたと思えば、和服になったり、刺青が入っていたりと『ザ・レイド』にはない衣装変えの楽しさがあったと思う。インディ系の映画によく出ている渋川さんは笑える役回りをしつつも、「ヤクザは勝ち負けで争っているんじゃねぇ、魂で戦っているんだ!」「ヤクザからバカとったら何も残らねぇよ!」といったカッコイイセリフから、男を見せる戦いっぷりまでこなして見せるおいしい役をやっているので、彼のファンは必見だ。
前半の展開だけでも無茶苦茶だが、後半にカエルの着ぐるみを着たカンフーの使い手が現れたあたりでわけのわからなさが極まってくる。このKAERUくん、金属バットでヤクザの頭をかち割るわ、眼力で動きを止めるわ、ヌンチャク使うわ、デコトラの突進をくらっても生きてるわで凄すぎる。着ぐるみの中身の衝撃の正体にも驚くこと間違いなしだ!
機敏な動きでヤクザを瞬殺するKAERUくん
KAERUくんが出てきてわけわからんことになるが、更なる超展開によって本作は実は特撮映画であることが判明する!そして続くボー然とするしかないラスト!映画の面白さは理屈だけで語れるものではない。本作のように理屈を吹き飛ばすぐらいのパワーがある映画には画面構成や演出力と言った次元を越えた「映画力」が宿るものだ。そして、この映画力があるかないかで映画の面白さは大きく左右される。マッドマックスほどではないにせよ、『極道大戦争』もまた映画力がほとばしる、今最もクレイジーな日本映画であることは間違いない。
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マッドマックスも狂っているが、極道大戦争もかなり狂っている!
三池監督と言えば、Vシネマ界隈で名をはせ、現在はメジャー作品を年に何本も手掛けるような早撮りかつ量産タイプの仕事人。現役の日本人監督で海外で名が知られている人はほんの数人しかいないが、三池監督は国際映画祭の常連でもある有名人。量産タイプとはいえ、個々の作品で必ず個性を発揮する瞬間がある作家性の強い監督でもある。
その作家性と言えば、徹底的に速い勢いのある展開だったり、激しい暴力演出の中に笑いが混在している謎のユーモア感覚などがある。山本英夫の超絶バイオレンス漫画『殺し屋1』の映画化の際にはタイトルを精液のなかから浮かび上がらせ、『悪の教典』の場合はサイコパスの教師が生徒を虐殺していく場面にギャグを混ぜるなど、シャレにならないことをシャレにしてしまう狂ったセンスの持ち主だ。
そんな三池監督の新作『極道大戦争』はどこまでも狂ったカオスな映画だ。
はっきり言ってむちゃくちゃすぎてわけわからん。だが、それがいい!
ストーリーを書きだしてもなんだそれってなるし、観ていても予測不能すぎで謎すぎるために何度もポカーンとさせられる。
まず、オープニングでいきなりリリー・フランキー演じるヤクザの組長がカチコミをかけている。ドスで刺されつつも、日本刀で応戦し、ターゲットのピエール瀧をバッサリ!これ以降、ピエール瀧は出てこない笑 そして、外国人二人組の殺し屋に殺されてしまうリリー・フランキー。彼は死の間際に子分の市原隼人に「極道ヴァンパイアの道を行け!」という言葉を残し、首筋に噛みついた!なんと、リリー・フランキーはカタギの血をすすって生きる極道ヴァンパイアだったのだ!カタギから搾取することで生きるのがヤクザだが、本当に生き血をすすって生きる極道ヴァンパイアは血を吸ったカタギを極道に変えてしまうという無茶設定。勢い余って市原隼人がカタギの血を吸いまくってしまったがためにネズミ算的にシマに極道が増えてしまう。最終的にはシマにいる人ほとんどが極道になってしまってヤクザが収入源を無くすという笑
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この映画、やたらと濃ゆい顔の俳優たちを脇役にも投入しまくっているので、けっこう濃い顔のはずの市原隼人が主演なのに普通に見えてくるという無茶苦茶なキャスティングをしている。でんでん、高島礼子、渋川清彦、『ザ・レイド』のマッドドッグことヤヤン・ルヒアン、『TOKYO TRIBE』で動きまくりのアクションをやっていた坂口茉琴がまた男の子役で出演(本人は女子高生)とこれだけでもわけわからん状態。今回のヤヤンはいわゆるオタクスタイルで現れたと思えば、和服になったり、刺青が入っていたりと『ザ・レイド』にはない衣装変えの楽しさがあったと思う。インディ系の映画によく出ている渋川さんは笑える役回りをしつつも、「ヤクザは勝ち負けで争っているんじゃねぇ、魂で戦っているんだ!」「ヤクザからバカとったら何も残らねぇよ!」といったカッコイイセリフから、男を見せる戦いっぷりまでこなして見せるおいしい役をやっているので、彼のファンは必見だ。
前半の展開だけでも無茶苦茶だが、後半にカエルの着ぐるみを着たカンフーの使い手が現れたあたりでわけのわからなさが極まってくる。このKAERUくん、金属バットでヤクザの頭をかち割るわ、眼力で動きを止めるわ、ヌンチャク使うわ、デコトラの突進をくらっても生きてるわで凄すぎる。着ぐるみの中身の衝撃の正体にも驚くこと間違いなしだ!
機敏な動きでヤクザを瞬殺するKAERUくん
KAERUくんが出てきてわけわからんことになるが、更なる超展開によって本作は実は特撮映画であることが判明する!そして続くボー然とするしかないラスト!映画の面白さは理屈だけで語れるものではない。本作のように理屈を吹き飛ばすぐらいのパワーがある映画には画面構成や演出力と言った次元を越えた「映画力」が宿るものだ。そして、この映画力があるかないかで映画の面白さは大きく左右される。マッドマックスほどではないにせよ、『極道大戦争』もまた映画力がほとばしる、今最もクレイジーな日本映画であることは間違いない。
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