今回紹介するのは日本でも超絶ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』。
もはや説明無用の伝説のロックバンドQueenを題材にした音楽映画となっている。
既に公開から2週が経過し、ご覧になっている方も多いと思うので、いつもの解説やあらすじ紹介的な部分は不要だろう。Queenの魅力なんて今更私が語る必要はないだろうし、劇中の曲の解説をするのも野暮な気がするのでやめておく。Queenのファンならば間違いなく見て損はしないし、詳しくない人であってもクライマックスのLive Aidのシーンでは盛り上がること必至だ。大いに盛り上がって大声で歌いたくなる、まさにQueenのライブのようなショーマンシップに溢れた娯楽大作だ。
そこで、今回は私の個人的なQueen体験と『ボヘミアン・ラプソディ』の映画として面白かった瞬間について書いてみる。
私が最初にQueenの曲を聴いたのはおそらくNHKの教育番組「ハッチポッチステーション」だろう。
1995年から2005年に放送されていたNHKのお家芸人形劇の技術を利用した音楽あり、お笑いありの番組だ。ハッチポッチステーションにはときどき洋楽ロックやポップスを有名な日本の童謡の歌詞で歌うコーナーがあり、そこでは唯一の生身の人間出演者であるグッチ雄三氏の趣味も大いに反映された選曲、PVを完全再現した気合の入り方など今見ても楽しい。その中でも最高に笑えたのが「ボヘミアン・ラプソディ」×「犬のおまわりさん」である。
何が笑えるってPVの再現度の高さ。まずは本家のPVをご覧いただきたい。
そしてこちらがハッチポッチステーション版
部分部分のカット割りから中間部のオペラパートでの「ガリレオ、フィガロ~」でのエフェクト効果まで再現するコピーぶりでパロディとして見事なだけでなく、しかも歌詞は「犬のおまわりさん」というギャグの合わせ技。当時小学校低学年だったか、未就学だったかのころに見たこの映像はなかなか衝撃で、大いに笑ったと同時にこの曲は何なのだろう?となった記憶がある。「ボヘミアン・ラプソディ」の他にもマイケル・ジャクソンの「Beat it」やベイシティローラーズの楽曲など、見事なカバーが放送されていた。小学生に洋楽ロックの名曲を叩きこんだグッチ雄三は本当に偉大だと思う。
私と同世代のQueen体験としては他には2004年に放送された木村拓哉主演の月9ドラマ『プライド』のテーマ曲となった「I was born to love you」や、同じころにCMで使われていた「bicycle race」、ヒース・レジャー主演の2001年の映画『ロック・ユー!』あたりが挙げられるだろう。『ロック・ユー』は14世紀のヨーロッパが舞台なのになぜか「We Will Rock You」が冒頭から流れるという時代無視も強烈な映画だったが、そこは楽曲のかっこよさで押し通されてしまうからすごい。冒頭の観衆が足踏みする場面は盛り上がる。「We Will Rock You!!(お前を揺さぶってやるぜ!)」と繰り返される歌詞の持つバイオレントな響きが騎士の馬上試合を描いた本作に不思議とマッチしたようだ。
さて、ここまでは同世代の人間ならば似たような経験をしてきたと思うが、個人的にはその後に聴いたQueenの楽曲で衝撃を受けたものがいくつかあるのでそちらも紹介しておこう。
まずは「Mustapha」
冒頭から中東の朝の祈りの時間が始まるという強烈なオープニング。アルバム「JAZZ」の一曲目に収録されているが、一曲目からこれをかましてくるQueenはやはり只者ではない。
そして「Teo Torriatte」
歌詞もついているのでわかると思うが、タイトルはズバリ「手をとりあって」である。
日本での人気が高く、日本びいきでもあったからこその楽曲だろう。
そして忘れてはならない「Flash」
『ボヘミアン・ラプソディ』では権利的にも面倒なのか一切触れられていなかったが、Queenが劇中の音楽を担当した映画が存在する。それが中年オヤジなテディベアのお下品コメディ『テッド』ネタにされまくった『フラッシュ・ゴードン』である。確かに底抜け大作だとは思うが、最高にバカバカしくて超面白い映画だし、なにより音楽がQueenなので盛り上がっているこの機会に是非見てほしい。
最後に「Stone Cold Crazy」
Queenの楽曲は数々のカバーが存在するが、その中でも最高にかっこいいのがメタリカがカバーしたこちら。もともとハードロックな楽曲だったが、完全なメタルアレンジとなることでかっこよさ倍増
いかがだったろうか?『ボヘミアン・ラプソディ』の選曲だけではわからないQueenの世界を知ってもらえたならば望外の喜びだ。最後におまけのようになってしまったが、『ボヘミアン・ラプソディ』で最も私が泣いた瞬間を一つ紹介しておく。
映画の後半、フレディは自身がゲイであることを恋人に認めざるを得なくなり、別居生活に突入する。別居したとはいえ、フレディの新居は恋人の家の隣だ。しかし、猫用の部屋がいくらあっても猫が話し相手になってくれることはないし、寂しい思いは募るばかり。友人だったはずのバンドメンバーを新居に招待して「飯食って行けよ!」と誘っても「ワリ、家族がいるんで早く帰らなきゃ」と早々に帰られてしまう始末。夜、広い家で一人寂しく酒をあおるフレディは恋人に電話をする。ベッドルームからドリカムの楽曲のようにランプの光で交信を試みるなど少しでも盛り上げようとするのだが、恋人はすっかり醒めた表情だ。フレディは新居の祝いとして電話越しに祝杯を上げようとするが、電話先ではベッドに座ってグラスもとらずに調子を合わせただけの気のない「おめでとう」が聞こえてくるだけだった・・・。
この瞬間の寂死さといったら強烈だ。フレディを演じるラミ・マレック(MR.ROBOTの主演のエジプト系の人)や恋人役のルーシー・ボイントン(『シング・ストリート』でも最高でした)の演技もカメラの距離感も素晴らしかった。他にも寂死な瞬間は多いので、2回目を見る機会があれば音楽以外の部分にも注目してほしい。
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もはや説明無用の伝説のロックバンドQueenを題材にした音楽映画となっている。
既に公開から2週が経過し、ご覧になっている方も多いと思うので、いつもの解説やあらすじ紹介的な部分は不要だろう。Queenの魅力なんて今更私が語る必要はないだろうし、劇中の曲の解説をするのも野暮な気がするのでやめておく。Queenのファンならば間違いなく見て損はしないし、詳しくない人であってもクライマックスのLive Aidのシーンでは盛り上がること必至だ。大いに盛り上がって大声で歌いたくなる、まさにQueenのライブのようなショーマンシップに溢れた娯楽大作だ。
そこで、今回は私の個人的なQueen体験と『ボヘミアン・ラプソディ』の映画として面白かった瞬間について書いてみる。
私が最初にQueenの曲を聴いたのはおそらくNHKの教育番組「ハッチポッチステーション」だろう。
1995年から2005年に放送されていたNHKのお家芸人形劇の技術を利用した音楽あり、お笑いありの番組だ。ハッチポッチステーションにはときどき洋楽ロックやポップスを有名な日本の童謡の歌詞で歌うコーナーがあり、そこでは唯一の生身の人間出演者であるグッチ雄三氏の趣味も大いに反映された選曲、PVを完全再現した気合の入り方など今見ても楽しい。その中でも最高に笑えたのが「ボヘミアン・ラプソディ」×「犬のおまわりさん」である。
何が笑えるってPVの再現度の高さ。まずは本家のPVをご覧いただきたい。
そしてこちらがハッチポッチステーション版
部分部分のカット割りから中間部のオペラパートでの「ガリレオ、フィガロ~」でのエフェクト効果まで再現するコピーぶりでパロディとして見事なだけでなく、しかも歌詞は「犬のおまわりさん」というギャグの合わせ技。当時小学校低学年だったか、未就学だったかのころに見たこの映像はなかなか衝撃で、大いに笑ったと同時にこの曲は何なのだろう?となった記憶がある。「ボヘミアン・ラプソディ」の他にもマイケル・ジャクソンの「Beat it」やベイシティローラーズの楽曲など、見事なカバーが放送されていた。小学生に洋楽ロックの名曲を叩きこんだグッチ雄三は本当に偉大だと思う。
私と同世代のQueen体験としては他には2004年に放送された木村拓哉主演の月9ドラマ『プライド』のテーマ曲となった「I was born to love you」や、同じころにCMで使われていた「bicycle race」、ヒース・レジャー主演の2001年の映画『ロック・ユー!』あたりが挙げられるだろう。『ロック・ユー』は14世紀のヨーロッパが舞台なのになぜか「We Will Rock You」が冒頭から流れるという時代無視も強烈な映画だったが、そこは楽曲のかっこよさで押し通されてしまうからすごい。冒頭の観衆が足踏みする場面は盛り上がる。「We Will Rock You!!(お前を揺さぶってやるぜ!)」と繰り返される歌詞の持つバイオレントな響きが騎士の馬上試合を描いた本作に不思議とマッチしたようだ。
さて、ここまでは同世代の人間ならば似たような経験をしてきたと思うが、個人的にはその後に聴いたQueenの楽曲で衝撃を受けたものがいくつかあるのでそちらも紹介しておこう。
まずは「Mustapha」
冒頭から中東の朝の祈りの時間が始まるという強烈なオープニング。アルバム「JAZZ」の一曲目に収録されているが、一曲目からこれをかましてくるQueenはやはり只者ではない。
そして「Teo Torriatte」
歌詞もついているのでわかると思うが、タイトルはズバリ「手をとりあって」である。
日本での人気が高く、日本びいきでもあったからこその楽曲だろう。
そして忘れてはならない「Flash」
『ボヘミアン・ラプソディ』では権利的にも面倒なのか一切触れられていなかったが、Queenが劇中の音楽を担当した映画が存在する。それが中年オヤジなテディベアのお下品コメディ『テッド』ネタにされまくった『フラッシュ・ゴードン』である。確かに底抜け大作だとは思うが、最高にバカバカしくて超面白い映画だし、なにより音楽がQueenなので盛り上がっているこの機会に是非見てほしい。
最後に「Stone Cold Crazy」
Queenの楽曲は数々のカバーが存在するが、その中でも最高にかっこいいのがメタリカがカバーしたこちら。もともとハードロックな楽曲だったが、完全なメタルアレンジとなることでかっこよさ倍増
いかがだったろうか?『ボヘミアン・ラプソディ』の選曲だけではわからないQueenの世界を知ってもらえたならば望外の喜びだ。最後におまけのようになってしまったが、『ボヘミアン・ラプソディ』で最も私が泣いた瞬間を一つ紹介しておく。
映画の後半、フレディは自身がゲイであることを恋人に認めざるを得なくなり、別居生活に突入する。別居したとはいえ、フレディの新居は恋人の家の隣だ。しかし、猫用の部屋がいくらあっても猫が話し相手になってくれることはないし、寂しい思いは募るばかり。友人だったはずのバンドメンバーを新居に招待して「飯食って行けよ!」と誘っても「ワリ、家族がいるんで早く帰らなきゃ」と早々に帰られてしまう始末。夜、広い家で一人寂しく酒をあおるフレディは恋人に電話をする。ベッドルームからドリカムの楽曲のようにランプの光で交信を試みるなど少しでも盛り上げようとするのだが、恋人はすっかり醒めた表情だ。フレディは新居の祝いとして電話越しに祝杯を上げようとするが、電話先ではベッドに座ってグラスもとらずに調子を合わせただけの気のない「おめでとう」が聞こえてくるだけだった・・・。
この瞬間の寂死さといったら強烈だ。フレディを演じるラミ・マレック(MR.ROBOTの主演のエジプト系の人)や恋人役のルーシー・ボイントン(『シング・ストリート』でも最高でした)の演技もカメラの距離感も素晴らしかった。他にも寂死な瞬間は多いので、2回目を見る機会があれば音楽以外の部分にも注目してほしい。
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