2019年2月23日(土)に東京の渋谷、青山にあるクラブ「青山蜂」にて『東京電脳特区』が開催された。
東京電脳特区はインディーゲーム制作者によって企画されたゲームの展示・試遊イベントである。
インディゲームコーナーも存在するが、あくまで企業主体のショーである「東京ゲームショー」や、インディゲームのイベントとはいえ、任天堂をはじめとした企業によるバックアップのある「Bit Summit」等とは違い、スポンサーも主催者も存在しない制作者自身による自主的なイベントだ。
今回が初の開催となったわけだが、予想以上に多くの来場者でにぎわっていた。
企業によるバックアップもないため、宣伝にかける予算も全くなかったはずなのにだ。
これは、近年のインディーゲーム市場の盛り上がりや、ユーザーの関心の高さを示しているといえる。
そもそもインディゲームとはなんぞや?となる人が当ブログの読者には多そうなので、簡単に説明しておく。
インディーゲームは個人、もしくは従業員数人程度の小規模な企業や同人サークルなどによって制作されているゲームのことを指している(説明するまでもないか?)。10年ぐらい前までゲーム開発といえばハイスペックなPCだったり、高度なプログラミング技術やグラフィックの知識だったりが必要なものとされていたわけだが、パソコンのスペックが向上し、ゲーム開発に最適化されたゲームエンジンやツールの登場によって制作へのハードルはかなり下がっている。個人で制作できるゲームどうせショボいんじゃないの?という考えの人もいると思うが、商業ベースで発表されているゲームと比べて遜色がほとんどないのも多くなっている。流石に大予算を投じられた超大作ゲームと見た目の比較をするのは酷だが、遊びとしての面白さで言えば差はないと言っていい。インディで制作され、ヒットしたものには少し前に話題になった「MOTHER」から影響受けた世界観が独特なRPG「UNDERTALE」も含まれる。「東京電脳特区」で出品されたゲームの中には既にiOS、SteamやNintendoSwitch向けに発売されているものもある。製品としてのクオリティも十分ということだ。
では、どういったゲームが出品されていたのか?
全てを遊べたわけではないため、ピックアップする形になってしまうが少し紹介してみよう。
『常世ノ塔』
複数の2Dドット絵の美少女キャラから選んでひたすら塔の上を目指すアイスクライマー的なゲーム。攻撃手段はあるものの、ゲージを消費して発動するため、常に攻撃できるわけではない。移動中は敵キャラによる攻撃をよけつつ、頃合いを見計らってスキルを発動するといったマネージメントが求められる。私のプレイヤースキルが低いこともあるだろうが、思ったよりもシビアな難易度だったので、すぐに終わってしまった。これは練習必須。
公式サイト
https://commentout.info/tokoyo/
『Monaka's Sugar High Nightmare』
ゾンビの主人公を捜査して制限時間内により多くのゾンビの仲間を増やすゾンビ量産ゲーム。
敵を後ろから攻撃することでゾンビ化させることができるが、ゾンビ化させた相手は自動的に動いて別の敵を襲ってくれるため、攻撃すればするほどにゾンビ仲間は増えていく。連続して攻撃していくほどにコンボがつながり、高得点になっていくため、慣れていくとどんどんコンボが繋がる。このコンボ連鎖の感覚がかなり爽快で、ポップなカラーリングのビジュアルと効果音が相まって楽しい気分になること請け合いだ。敵はいくつかパターンがあり、人型のゾンビ的なやつ、幽霊、カボチャのオバケ(ジャコランタンだな)を確認している。いくつかステージを終えるごとにショップが出現し、取得したポイントを消費してライフの回復や移動速度を上げるアイテムなどに交換も可能。この辺りも含めてアーケードゲームの感覚が強い。試遊では試していないが、プレイヤーキャラクターもいくつかバリエーションもあるようだ。個人的にかなり気に入ったので、完成したら購入したいところ。
公式サイト
https://slimeman.itch.io/sugar
pixiv fanboxで進捗の確認、資金援助も可能だ
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/14778841/post/196380
『果てのマキナ』
当日は開発者がイベントには来られなかったらしく、試遊の際はヘッドセットで電話をしながらというリモート体験を味わった。こういうことがあるのもまたインディらしさか。肝心のゲーム内容だが、2Dスクロールタイプのメトロイドヴァニア的なアクションゲーム。「的な」というのは現在開発中で、まだ仕様が明確になっていない部分も多いと聞いたためだ。ブーメランのような武器を任意の方向に投げることで攻撃が可能だが、このゲーム最大の特徴は武器を投げた先に瞬間移動できる点だろう。漫画「NARUTO」で四代目火影がクナイに式を書いて投げた先に移動する術が出てきたが、あのイメージである(読んでいないと分らんなぁ・・・)。ジャンプだけではたどり着かない場所もこの瞬間移動を行えば移動可能。敵との戦闘の際にも攻撃を避けたり、逆に間合いを詰めたりと様々な用途が考えられる。試遊では不明な部分が多かったが、ストーリーも存在するらしく、どのような世界観でどんなストーリーが展開されるのかが気になる。スティックで方向を決めて右トリガーで投げる操作感には慣れが必要だと思ったし、今後の調整もあるだろうが、アクションゲームとしては面白いアイディアだと思ったので、完成を楽しみにしたい。
開発者のWEBサイト
http://ozumikan.com/
pixiv fanboxで進捗の確認、資金援助も可能だ
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/31346578
『PHRASEFIGHT』
Nintendo Switch向けにリリース済みの対戦型リズムゲーム。
リズムに合わせてボタンもしくは方向キーを押すことで、殴りや蹴りを繰り出し、より高得点を出して相手を押し出した方が勝ちとなる。表示される譜面に合わせてボタンを押すのが基本となるが、必ずしも譜面通りにする必要はなく、リズムに合わせてアドリブのリズムを刻むことでも得点を得ることが可能だ。ボタンによってモーションと音が変わる仕様だが、どのボタンを押すかまでは譜面では指定されない。単純にAボタンだけでも得点は得られる。だが、プレイしてみると一種類の音だけで一曲終えるのは味気ない。だからこそ色んなボタンを押してみたくなるし、曲に合わせてもっと音数を増やしたくもなってくる。プレイヤーの自主的な音作りを促す隙間のあるゲームデザインだといえる。このクリエイティビティを刺激する感覚は、音ゲーに慣れている人はもちろんだが、筆者のように譜面に合わせて行うリズムゲームが苦手だが楽器は弾けるという人にもアピールするものだと思う。
そして、このゲームは対戦型であることも重要で、イベント当日は来場者による大会も行われた。10人ほどのトーナメント性だったが、実は筆者も参加していた。試遊の際にかなり上手くいっている感覚があったのと、アドリブ演奏には少しは自信があったので参加したわけだが、初戦で音ゲーガチ勢で購入済みの方と当たってしまい、敗退。その方はそのまま優勝までしていた実力者だったし、俺も善戦はしたと思うぜ?アドリブのリズムも大いに飛び出し、大会は大いに盛り上がった。上手い人同士の対戦は音も多様で音数も増えていくため、音楽を刻みつつ殴り合うというゲームのコンセプトを見事に表した音楽的な格闘ゲームとなる。開発終盤で実装したというリプレイ機能も面白いだろう。
公式ページ
http://veryok.jp/pf/
Nintendoオンラインストアにて1000円で発売中だ
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000011791
以上、東京電脳特区のレポートでした。
次回の開催もありそうなので、楽しみにしています。
インディゲーム界隈はどんどん盛り上がっている市場なので、これから制作者として参加するもよし、いろいろ遊んでみるのも良し、イベントに行ってみるのも良しです。少し変わったゲームを探している方はこういったイベントに行ってみると新しい世界が開けることでしょう。
んじゃ、また。
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東京電脳特区はインディーゲーム制作者によって企画されたゲームの展示・試遊イベントである。
インディゲームコーナーも存在するが、あくまで企業主体のショーである「東京ゲームショー」や、インディゲームのイベントとはいえ、任天堂をはじめとした企業によるバックアップのある「Bit Summit」等とは違い、スポンサーも主催者も存在しない制作者自身による自主的なイベントだ。
今回が初の開催となったわけだが、予想以上に多くの来場者でにぎわっていた。
企業によるバックアップもないため、宣伝にかける予算も全くなかったはずなのにだ。
これは、近年のインディーゲーム市場の盛り上がりや、ユーザーの関心の高さを示しているといえる。
そもそもインディゲームとはなんぞや?となる人が当ブログの読者には多そうなので、簡単に説明しておく。
インディーゲームは個人、もしくは従業員数人程度の小規模な企業や同人サークルなどによって制作されているゲームのことを指している(説明するまでもないか?)。10年ぐらい前までゲーム開発といえばハイスペックなPCだったり、高度なプログラミング技術やグラフィックの知識だったりが必要なものとされていたわけだが、パソコンのスペックが向上し、ゲーム開発に最適化されたゲームエンジンやツールの登場によって制作へのハードルはかなり下がっている。個人で制作できるゲームどうせショボいんじゃないの?という考えの人もいると思うが、商業ベースで発表されているゲームと比べて遜色がほとんどないのも多くなっている。流石に大予算を投じられた超大作ゲームと見た目の比較をするのは酷だが、遊びとしての面白さで言えば差はないと言っていい。インディで制作され、ヒットしたものには少し前に話題になった「MOTHER」から影響受けた世界観が独特なRPG「UNDERTALE」も含まれる。「東京電脳特区」で出品されたゲームの中には既にiOS、SteamやNintendoSwitch向けに発売されているものもある。製品としてのクオリティも十分ということだ。
では、どういったゲームが出品されていたのか?
全てを遊べたわけではないため、ピックアップする形になってしまうが少し紹介してみよう。
『常世ノ塔』
複数の2Dドット絵の美少女キャラから選んでひたすら塔の上を目指すアイスクライマー的なゲーム。攻撃手段はあるものの、ゲージを消費して発動するため、常に攻撃できるわけではない。移動中は敵キャラによる攻撃をよけつつ、頃合いを見計らってスキルを発動するといったマネージメントが求められる。私のプレイヤースキルが低いこともあるだろうが、思ったよりもシビアな難易度だったので、すぐに終わってしまった。これは練習必須。
公式サイト
https://commentout.info/tokoyo/
『Monaka's Sugar High Nightmare』
ゾンビの主人公を捜査して制限時間内により多くのゾンビの仲間を増やすゾンビ量産ゲーム。
敵を後ろから攻撃することでゾンビ化させることができるが、ゾンビ化させた相手は自動的に動いて別の敵を襲ってくれるため、攻撃すればするほどにゾンビ仲間は増えていく。連続して攻撃していくほどにコンボがつながり、高得点になっていくため、慣れていくとどんどんコンボが繋がる。このコンボ連鎖の感覚がかなり爽快で、ポップなカラーリングのビジュアルと効果音が相まって楽しい気分になること請け合いだ。敵はいくつかパターンがあり、人型のゾンビ的なやつ、幽霊、カボチャのオバケ(ジャコランタンだな)を確認している。いくつかステージを終えるごとにショップが出現し、取得したポイントを消費してライフの回復や移動速度を上げるアイテムなどに交換も可能。この辺りも含めてアーケードゲームの感覚が強い。試遊では試していないが、プレイヤーキャラクターもいくつかバリエーションもあるようだ。個人的にかなり気に入ったので、完成したら購入したいところ。
公式サイト
https://slimeman.itch.io/sugar
pixiv fanboxで進捗の確認、資金援助も可能だ
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/14778841/post/196380
『果てのマキナ』
当日は開発者がイベントには来られなかったらしく、試遊の際はヘッドセットで電話をしながらというリモート体験を味わった。こういうことがあるのもまたインディらしさか。肝心のゲーム内容だが、2Dスクロールタイプのメトロイドヴァニア的なアクションゲーム。「的な」というのは現在開発中で、まだ仕様が明確になっていない部分も多いと聞いたためだ。ブーメランのような武器を任意の方向に投げることで攻撃が可能だが、このゲーム最大の特徴は武器を投げた先に瞬間移動できる点だろう。漫画「NARUTO」で四代目火影がクナイに式を書いて投げた先に移動する術が出てきたが、あのイメージである(読んでいないと分らんなぁ・・・)。ジャンプだけではたどり着かない場所もこの瞬間移動を行えば移動可能。敵との戦闘の際にも攻撃を避けたり、逆に間合いを詰めたりと様々な用途が考えられる。試遊では不明な部分が多かったが、ストーリーも存在するらしく、どのような世界観でどんなストーリーが展開されるのかが気になる。スティックで方向を決めて右トリガーで投げる操作感には慣れが必要だと思ったし、今後の調整もあるだろうが、アクションゲームとしては面白いアイディアだと思ったので、完成を楽しみにしたい。
開発者のWEBサイト
http://ozumikan.com/
pixiv fanboxで進捗の確認、資金援助も可能だ
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『PHRASEFIGHT』
Nintendo Switch向けにリリース済みの対戦型リズムゲーム。
リズムに合わせてボタンもしくは方向キーを押すことで、殴りや蹴りを繰り出し、より高得点を出して相手を押し出した方が勝ちとなる。表示される譜面に合わせてボタンを押すのが基本となるが、必ずしも譜面通りにする必要はなく、リズムに合わせてアドリブのリズムを刻むことでも得点を得ることが可能だ。ボタンによってモーションと音が変わる仕様だが、どのボタンを押すかまでは譜面では指定されない。単純にAボタンだけでも得点は得られる。だが、プレイしてみると一種類の音だけで一曲終えるのは味気ない。だからこそ色んなボタンを押してみたくなるし、曲に合わせてもっと音数を増やしたくもなってくる。プレイヤーの自主的な音作りを促す隙間のあるゲームデザインだといえる。このクリエイティビティを刺激する感覚は、音ゲーに慣れている人はもちろんだが、筆者のように譜面に合わせて行うリズムゲームが苦手だが楽器は弾けるという人にもアピールするものだと思う。
そして、このゲームは対戦型であることも重要で、イベント当日は来場者による大会も行われた。10人ほどのトーナメント性だったが、実は筆者も参加していた。試遊の際にかなり上手くいっている感覚があったのと、アドリブ演奏には少しは自信があったので参加したわけだが、初戦で音ゲーガチ勢で購入済みの方と当たってしまい、敗退。その方はそのまま優勝までしていた実力者だったし、俺も善戦はしたと思うぜ?アドリブのリズムも大いに飛び出し、大会は大いに盛り上がった。上手い人同士の対戦は音も多様で音数も増えていくため、音楽を刻みつつ殴り合うというゲームのコンセプトを見事に表した音楽的な格闘ゲームとなる。開発終盤で実装したというリプレイ機能も面白いだろう。
公式ページ
http://veryok.jp/pf/
Nintendoオンラインストアにて1000円で発売中だ
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000011791
以上、東京電脳特区のレポートでした。
次回の開催もありそうなので、楽しみにしています。
インディゲーム界隈はどんどん盛り上がっている市場なので、これから制作者として参加するもよし、いろいろ遊んでみるのも良し、イベントに行ってみるのも良しです。少し変わったゲームを探している方はこういったイベントに行ってみると新しい世界が開けることでしょう。
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