コロナ騒動により、放送が延期してしまった作品が多くなっているアニメ業界ですが、4月クールの作品が7月から仕切り直しで放送が始まっていたりします。
とはいえ、本来7月放送開始だったものがさらにずれ込んだりもしているし、アニメーション制作現場は自宅作業が増加、未だにアフレコ現場は元通りとはならず、抜き録りが多いそうな。
ますます引きこもりが捗る生活ですが、夏アニメこんなもの見ました。
この中で注目している作品を挙げておきます。
『デカダンス』
一話目からたくさん動いていて、巨大ロボ的な移動都市による巨大感のあるバトルも良し、2話目では作品の世界観が明らかになって予想外の絵柄の変化も見られました。二頭身のSDキャラとリアルな頭身の絵が同じ作品で見られるのは面白い。
監督の立川譲さんは「モブサイコ100」や「名探偵コナン ゼロの執行人」を当てた監督として知られており、モブサイコでも見られた絵の動きで勝負していくスタイルが今作でも見られます。オリジナル作品なので、先の展開がわかっていないのも良いですね。
『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完』
4月放送予定だったのが放送延期となり、7月から開始となりました。同名ライトノベル原作のアニメの第3シーズンにして最終章。2期から制作会社がfeelとなり、「ウマ娘プリティーダービー」「ヒナまつり」の及川啓監督は2期から続投。全体的に絵に安定感があり、日常動作を丁寧に描いていることが好感が持てます。1話のBパートのサンマルクカフェでお茶するところは出色の出来でした。表情変化、アドリブ感のある会話、細かく芝居をつけていく絵、キャラクター同士の距離感の描き方などトータルでいいシーンになっていたと思います。
安定感という点で言えば、『宇崎ちゃんは遊びたい!』も良いですよ。
『Lapis Re:LiGHTs』
Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)はゲームを中心としたメディアミックス作品です。魔女養成のための学園を舞台にした作品で、この世界では魔女はアイドル的な活動もしています。作品としては近年のゲーム原作モノに多い「アイドル+〇〇」系列で絵柄も深夜アニメに多そうなタイプではありますが、十分な時間をかけて制作されているのか、絵の崩れがほとんど見られず、安定した動きと絵の統一が実現できています。
特筆するほどの出来の良さではありませんが、新興スタジオの横浜アニメーションラボがこれだけ安定して制作できているのは凄いことではないかと。この文章を書いている時点で4話まで放送されていますが、特段の崩れは見られず安定しているのでこのまま最後まで見届けたいと思います。
『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』
長々と続いてきたソードアート・オンラインのアリシゼーション編がようやく最終クールを迎えました。大河ドラマよりもゆったりしてるんじゃないかと思うぐらいになかなか進まなかった今回のエピソードがやっと終わります。何度も脱落しつつ、今回また戻って見ているわけですが、最終クールに至るまでシリーズの主人公キリトは眠ったまま・・・というか、話ほとんど進んでないやんけ!
最終クールということもあってか、以前にも増して動画枚数を使いまくったアクションカットが連発する話数が続いています。やたら首チョンパ、腕チョンパがあり、エロ度数も高い(一話目でいきなり触手ネタ!)のも特徴です。売れているシリーズだからやりたい放題であります。
ここまで7月期に放送開始となったシリーズ作品について書いてきましたが、配信作品も忘れてはなりません。そう、問題の「日本沈没2020」です。
小松左京の「日本沈没」を2020年の日本を舞台に描いたアニメシリーズに、しかも湯浅政明監督で、ということで以前から注目を集めていました。しかし、いざ公開されてみると、日本人の描写が意地悪すぎるとかなんとかでネトウヨ系の人から叩かれたり、他にも色々物議を催す結果に。それでも一般的には賛の声の方が多いのかなと思います。
基本的に湯浅監督の作品は好きなものが多いし、優秀な監督という認識は揺らいでおりませんが、「日本沈没2020」、お前はダメだ!
理由を挙げ始めるとキリがなさそうなくらいにフラストレーションが溜まってしまったのですが、何がダメって話がボロボロすぎるよ・・・。
大きい地震があった後なのに屋内の更衣室で着替えて集合させようとする危機管理能力ゼロの指導者に始まり(当然余震で主人公以外皆潰れて肉片になります)、崩壊しているはずの道を走ってアッサリと家に帰れてしまうわ、親父は山の上に続く階段にイルミネーション(ゲーミングな配色がw)を超短時間で設置しているなど、タイムテーブルどうなっているのかが分からなすぎる1話で疑問符がいっぱいです。
家に帰るまでの道のりがどこまでも長く、丹念にディテールを描いていた「東京マグニチュード8.0」とは大違いなザックリぶりで心が沈んでいくのを感じました。
ズブズブ・・・・
2話目の最後の展開もショックを狙ったのでしょうが、アホくささの方が目立ちます。
ネタバレになるから書きませんが、今どきB級映画でももっと工夫がありますよ。
3話以降も「ショック展開」が続き、とにかく人が死にまくる本作ですが、行きあたりばったり感というか、とにかく無駄に死ぬ。「前触れなく死んでしまうのが現実だ!」と言いたいのかもしれませんが、その人物の背景がそれほど丹念に描かれたわけでもない状態でポンポン殺されてもはぁそーですか、それは大変ですね、としかならないのです。即物的な暴力といえば湯浅監督の過去作「ケモノヅメ」でも描かれていますが、あちらはそもそものリアリティラインが低いことに加え、エロと暴力をカオスな展開とエッジの利いた絵柄や色彩で描いたビジュアル重視の作品でした。「日本沈没2020」はシリアスな物語重視の作品を意図した企画にしては、圧倒的にディテールが少なく、全体的にえーかげんなのです。その割にはそれほど重要だったとも思えない新興宗教のキャンプでの滞在やエピローグに多くの時間を割いているのもアンバランスです。少なくとも、25分程度で10話も作る必要はなかった。もっと短く2時間ぐらいの映画にしたほうがベターだったと思いますが、Netflix的にはシリーズにしたかったんでしょうねぇ。。。
ズブズブズブ・・・・
シーンを通してのディテールが不足しているならば、セリフで補う努力がされているかというとそうでもなく、終盤にあるラップバトルのリリックが一番良かったという困った事態。脚本はボロボロでしょうが、KEN THE 390のリリックは良かったので、そこは見ると良いんじゃないかな!やたら上手い小野賢章さんを筆頭に芸達者な皆さんによるラップは聞きどころです。
あと、アニメーションとしての評価も難しいところで、良い絵とダメな絵が入り乱れてしまっていて、平均すると絵が荒れている印象が強くなってしまっている問題もあります。
湯浅監督の作品はディテールを書き込んだデザインにはしない傾向があり、近年の作品は影を付けない絵がほとんどです。影なし絵は動きが際立つ効果がありますが、下手さが目立つものでもあります。本作では修正を加える時間的余裕が全く無かったのか、良くない絵がほとんど修正されずに採用されている印象がありました。しかし、クライマックスでのKITE君が気球に乗る場面での大平晋也を想起させる強烈な崩しの美学を感じるアニメーションもあったりするので、作画マニア的にも見どころがあるのです。話と同様にビジュアルにおいてもアンバランスな作品になっているのが困りもの。
ズブズブズブブブッ!
個人にフォーカスしたために沈没した日本の全体像が見えてこない問題など、問題は他にも色々ありますが、これ以上負の感想ばかり書いても不毛なので最後に一つだけ。
足首の傷、もう少し早く手当できたよね?
ハァ~~~~ズブズブズブ・・・・心ガ沈ンデシマタヨ
↓ランキングに参加しています。クリックで応援よろしく!
にほんブログ村
とはいえ、本来7月放送開始だったものがさらにずれ込んだりもしているし、アニメーション制作現場は自宅作業が増加、未だにアフレコ現場は元通りとはならず、抜き録りが多いそうな。
ますます引きこもりが捗る生活ですが、夏アニメこんなもの見ました。
- うまよん
- ド級編隊エグゼロス
- デカダンス
- Great Pretender
- 宇崎ちゃんは遊びたい!
- 彼女、お借りします
- やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完
- GIBIATE
- ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld
- Lapis Re:LiGHTs
この中で注目している作品を挙げておきます。
『デカダンス』
一話目からたくさん動いていて、巨大ロボ的な移動都市による巨大感のあるバトルも良し、2話目では作品の世界観が明らかになって予想外の絵柄の変化も見られました。二頭身のSDキャラとリアルな頭身の絵が同じ作品で見られるのは面白い。
監督の立川譲さんは「モブサイコ100」や「名探偵コナン ゼロの執行人」を当てた監督として知られており、モブサイコでも見られた絵の動きで勝負していくスタイルが今作でも見られます。オリジナル作品なので、先の展開がわかっていないのも良いですね。
『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完』
4月放送予定だったのが放送延期となり、7月から開始となりました。同名ライトノベル原作のアニメの第3シーズンにして最終章。2期から制作会社がfeelとなり、「ウマ娘プリティーダービー」「ヒナまつり」の及川啓監督は2期から続投。全体的に絵に安定感があり、日常動作を丁寧に描いていることが好感が持てます。1話のBパートのサンマルクカフェでお茶するところは出色の出来でした。表情変化、アドリブ感のある会話、細かく芝居をつけていく絵、キャラクター同士の距離感の描き方などトータルでいいシーンになっていたと思います。
安定感という点で言えば、『宇崎ちゃんは遊びたい!』も良いですよ。
『Lapis Re:LiGHTs』
Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)はゲームを中心としたメディアミックス作品です。魔女養成のための学園を舞台にした作品で、この世界では魔女はアイドル的な活動もしています。作品としては近年のゲーム原作モノに多い「アイドル+〇〇」系列で絵柄も深夜アニメに多そうなタイプではありますが、十分な時間をかけて制作されているのか、絵の崩れがほとんど見られず、安定した動きと絵の統一が実現できています。
特筆するほどの出来の良さではありませんが、新興スタジオの横浜アニメーションラボがこれだけ安定して制作できているのは凄いことではないかと。この文章を書いている時点で4話まで放送されていますが、特段の崩れは見られず安定しているのでこのまま最後まで見届けたいと思います。
『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』
長々と続いてきたソードアート・オンラインのアリシゼーション編がようやく最終クールを迎えました。大河ドラマよりもゆったりしてるんじゃないかと思うぐらいになかなか進まなかった今回のエピソードがやっと終わります。何度も脱落しつつ、今回また戻って見ているわけですが、最終クールに至るまでシリーズの主人公キリトは眠ったまま・・・というか、話ほとんど進んでないやんけ!
最終クールということもあってか、以前にも増して動画枚数を使いまくったアクションカットが連発する話数が続いています。やたら首チョンパ、腕チョンパがあり、エロ度数も高い(一話目でいきなり触手ネタ!)のも特徴です。売れているシリーズだからやりたい放題であります。
ここまで7月期に放送開始となったシリーズ作品について書いてきましたが、配信作品も忘れてはなりません。そう、問題の「日本沈没2020」です。
小松左京の「日本沈没」を2020年の日本を舞台に描いたアニメシリーズに、しかも湯浅政明監督で、ということで以前から注目を集めていました。しかし、いざ公開されてみると、日本人の描写が意地悪すぎるとかなんとかでネトウヨ系の人から叩かれたり、他にも色々物議を催す結果に。それでも一般的には賛の声の方が多いのかなと思います。
基本的に湯浅監督の作品は好きなものが多いし、優秀な監督という認識は揺らいでおりませんが、「日本沈没2020」、お前はダメだ!
理由を挙げ始めるとキリがなさそうなくらいにフラストレーションが溜まってしまったのですが、何がダメって話がボロボロすぎるよ・・・。
大きい地震があった後なのに屋内の更衣室で着替えて集合させようとする危機管理能力ゼロの指導者に始まり(当然余震で主人公以外皆潰れて肉片になります)、崩壊しているはずの道を走ってアッサリと家に帰れてしまうわ、親父は山の上に続く階段にイルミネーション(ゲーミングな配色がw)を超短時間で設置しているなど、タイムテーブルどうなっているのかが分からなすぎる1話で疑問符がいっぱいです。
家に帰るまでの道のりがどこまでも長く、丹念にディテールを描いていた「東京マグニチュード8.0」とは大違いなザックリぶりで心が沈んでいくのを感じました。
ズブズブ・・・・
2話目の最後の展開もショックを狙ったのでしょうが、アホくささの方が目立ちます。
ネタバレになるから書きませんが、今どきB級映画でももっと工夫がありますよ。
3話以降も「ショック展開」が続き、とにかく人が死にまくる本作ですが、行きあたりばったり感というか、とにかく無駄に死ぬ。「前触れなく死んでしまうのが現実だ!」と言いたいのかもしれませんが、その人物の背景がそれほど丹念に描かれたわけでもない状態でポンポン殺されてもはぁそーですか、それは大変ですね、としかならないのです。即物的な暴力といえば湯浅監督の過去作「ケモノヅメ」でも描かれていますが、あちらはそもそものリアリティラインが低いことに加え、エロと暴力をカオスな展開とエッジの利いた絵柄や色彩で描いたビジュアル重視の作品でした。「日本沈没2020」はシリアスな物語重視の作品を意図した企画にしては、圧倒的にディテールが少なく、全体的にえーかげんなのです。その割にはそれほど重要だったとも思えない新興宗教のキャンプでの滞在やエピローグに多くの時間を割いているのもアンバランスです。少なくとも、25分程度で10話も作る必要はなかった。もっと短く2時間ぐらいの映画にしたほうがベターだったと思いますが、Netflix的にはシリーズにしたかったんでしょうねぇ。。。
ズブズブズブ・・・・
シーンを通してのディテールが不足しているならば、セリフで補う努力がされているかというとそうでもなく、終盤にあるラップバトルのリリックが一番良かったという困った事態。脚本はボロボロでしょうが、KEN THE 390のリリックは良かったので、そこは見ると良いんじゃないかな!やたら上手い小野賢章さんを筆頭に芸達者な皆さんによるラップは聞きどころです。
あと、アニメーションとしての評価も難しいところで、良い絵とダメな絵が入り乱れてしまっていて、平均すると絵が荒れている印象が強くなってしまっている問題もあります。
湯浅監督の作品はディテールを書き込んだデザインにはしない傾向があり、近年の作品は影を付けない絵がほとんどです。影なし絵は動きが際立つ効果がありますが、下手さが目立つものでもあります。本作では修正を加える時間的余裕が全く無かったのか、良くない絵がほとんど修正されずに採用されている印象がありました。しかし、クライマックスでのKITE君が気球に乗る場面での大平晋也を想起させる強烈な崩しの美学を感じるアニメーションもあったりするので、作画マニア的にも見どころがあるのです。話と同様にビジュアルにおいてもアンバランスな作品になっているのが困りもの。
ズブズブズブブブッ!
個人にフォーカスしたために沈没した日本の全体像が見えてこない問題など、問題は他にも色々ありますが、これ以上負の感想ばかり書いても不毛なので最後に一つだけ。
足首の傷、もう少し早く手当できたよね?
ハァ~~~~ズブズブズブ・・・・心ガ沈ンデシマタヨ
↓ランキングに参加しています。クリックで応援よろしく!
にほんブログ村
コメント