雑多庵 ~映画バカの逆襲~

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もはやどこまで行くのか、よくわからない話になっています。

マーベル映画はほぼ毎作見ているのですが、今回はソニー製作のスパイダーマン映画3部作を監督したサム・ライミがまたマーベル系の映画を手掛けるということで特に注目していました。



マーベル風呂敷拡げすぎ問題

マーベルの前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、ドクター・ストレンジがスパイダーマンの正体を世間から隠そうとしたら、色々とミスってしまい大惨事。マルチバースの扉が開かれて別世界のヴィラン(=悪役)たちがやってきたからお前が何とかしろ!と命じたストレンジでしたが、『マルチバース・オブ・マッドネス』ではそのミスがストレンジ自身も巻き込むことになってしまうのでした。

ネタバレせずに書くのが非常に難しい映画なので内容についてはなるべく控えますが、予告からは予想外の展開がてんこ盛りだったので驚きの多い映画でしたね。そもそも今回の敵役に当たるのがネタバレ要素ですから、序盤から内容について書けないのです。一つ言えるのは、最近のマーベル映画は映画だけではカバーしきれない内容になってきたということです。

本作の場合は明らかにディズニープラスで配信中のドラマ『ワンダビジョン』を踏襲している内容になっています。実際は見ていなくても問題ないぐらいではあるのですが、『ワンダビジョン』を一切知らない状態で見ると多少なりとも違和感のある内容になってしまっていることは否めません。映画やドラマと複数ラインで展開し、作品世界を拡げ続けるマーベル・シネマティック・ユニバースですが、ちょっとやり過ぎじゃない?とは思います。最初の『アベンジャーズ』(2012)の時点でこれまでの作品をすべて見ていることを前提とした作りでしたが、作品数が増えていくことで新規の視聴者に対するハードルが高くなり続けている感覚があります。最初のころから見ている自分でもドラマシリーズまではチェックしきれていないため、ついていくのも正直キツくなっています。

ファンサービスが雑過ぎんか?

次の作品への橋渡しをする意味でゲスト出演的なキャラクターを登場させるのもマーベル作品の恒例行事ですが、このスタイルも最近は雑になってきた感覚があります。繋がりを作るためとは言え、次の作品を見るとそれほど重要でなかったり、肩透かしに終わっているパターンが頻発しているのには疑問があります。『マルチバース・オブ・マッドネス』では中盤にこれまでのマーベル製作の映画には登場していなかったキャラクターが配役そのままで登場しますが、出てきたと思ったらそれほど活躍せずにあっさり退場・・・いやいやこれは雑過ぎませんか?物語上もそれほど重要ではありませんし、この扱いはファンサービスとしても不十分だったと思います。

サム・ライミのサービス精神は◎

本作で私が一番期待していたサム・ライミ監督の演出ですが、その点は満足のいくものでした。序盤から登場する一つ目モンスターの怪獣映画的な動かし方は楽しかったし、ここぞとばかりに繰り出す残虐描写もいい目の保養になりました。絶妙なタイミングで繰り出すビックリ演出の数々や空飛ぶカメラ、終盤でドクター・ストレンジがまさかのフォームチェンジをするなど常に観客へのサービスを忘れない監督の演出スタイルが発揮されています。作品を通してホラー風味の演出が多く、監督のデビュー作『死霊のはらわた』を彷彿させる瞬間が多かったことも印象的です。

元々はライミ監督と同じくホラー出身のスコット・デリクソン監督が予定されていましたが、デリクソン監督が降板してライミ監督に引き継がれる段階で脚本にもかなりの調整が入ったと思われます。デリクソン監督による『ドクター・ストレンジ』(2016)もビジュアル面で楽しい映画でしたが、比較してみると監督による作風の違いが分かっておもしろいと思います。

ファンには重要な要素である、ライミ監督の盟友ブルース・キャンベルの出演ですが、安心してください。割とセリフも多めに登場しております!!エンドクレジット後のおまけシーンもファンなら楽しいんじゃないですかね・・・

本作も内輪揉め話だったりするので、いい加減マーベル作品は自分の庭から出ないのか?と言いたくなる出来でしたが、ビジュアル面での満足度は非常に高い作品です。
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