2023年9月9日(土)から11月12日(日)に福岡市美術館で開催されていた「GIANT ROBOTS 日本の巨大ロボット群像」が巡回で横須賀美術館で2月10日から開催されるとのことで行ってきました。
巨大ロボットといえば日本のアニメーションの黎明期から存在し、実写特撮でもお馴染みのものです。子どもから大きなお友だちまでワクワクさせてくれる存在ではありますが、その歴史を系統立てて解説したものは多くはありません。
長らくアートとして価値のあるものとは解釈されていなかったこと、日本のテレビ番組や映画は権利関係が複雑で許可取りをするのも難しかったなど理由は色々と考えられますが、関係各所の協力を得ることで全国の美術館で展示ができるまでになったようです。
展示は1960年の実写ドラマに始まり、複数回のアニメ化で展開されてきた横山光輝原作の鉄人28号の解説から始まります。無骨なデザインの28号が有名ですが、実写ドラマ版はほぼ人間サイズのロボットだったり、1980年の「太陽の使者」版ではシュッとしたスタイリッシュなデザインになったりと時代によって変化していることが解説付きで見られます。
続くコーナーでは永井豪原作の「マジンガーZ」や「鋼鉄ジーグ」、富野由悠季監督の「勇者ライディーン」といった1970年代の作品を巨大なパネルによる解説が見られます。「超電磁ロボ コン・バトラーV」は5台の合体プロセスをデッカく図解。全体的に巨大な図鑑のような印象を展示から感じます。70年代辺りの作品から虚構の塊である巨大ロボットに説得力をもたせるための詳細な設定が加えられていったのです。ロボットの設定やデザインを作り込んでいく過程でSF系の設定制作集団「スタジオぬえ」の登場にも触れられています。
巨大なパネルの次は床一面に見えるガンダムがお出迎えです。等身大サイズのようですが、このサイズ感だと展示できる空間も限られますね。ガンダムの他にも「メガゾーン23」のガーランドや、「装甲騎兵ボトムズ」のスコープドッグも等身大パネルが展示されています。
本展覧会のためにスタジオぬえ所属で横須賀市出身のメカデザイナー宮武一貴さんによる巨大なアクリル画が2枚制作されています。宮武さんがデザインしていないロボットも描かれているので、マニア的にもレアな2枚となっています。宮武さんを始めとした巨大ロボット作品にゆかりのある人々によるコメントも展示されており、長尺のインタビューは図録に収められています。図録はこれらのインタビューに加えて、展示されている資料や解説も大量に収録されており、ロボット作品の年表も付いた資料性の高い貴重な一冊となっているので是非ご購入を検討ください。
多くの展示物がある中で個人蔵の設定資料や玩具も多かったことが印象に残っています。特に玩具に関しては販売した会社にも所蔵されていないことが多く、個人のコレクターの協力がなければ展示が困難なものも多いのです。近年の作品は制作時の資料をある程度は保管していると思いますが、今後は展示や教育のためにアーカイブする意識も重要になるでしょう。
本展示は横須賀美術館では4月7日まで、その後は香川県や京都府への巡回の予定があります。
コメント