今回紹介するのは当ブログ初のドキュメンタリー映画です。タイトルの「DUNE」は1965年に一作目が出版されたフランク・ハーバードによるSF小説『デューン』のこと。ホドロフスキーとはチリ出身の映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーのことです。両者のつながりとは何でしょうか!?
本作はドキュメンタリーなのであまり解説するようなことはなく、予告編を見てピンときた方は見ていただければ問題ないと思いますが、簡単に内容とホドロフスキーについて書いておきます。
このドキュメンタリーは70年代前半にプリプロダクションの段階まで進んだものの、撮影に入る前に製作が中止されてしまった『DUNE』がいかなる構想のもので、いかに後のSF映画に影響に与えたのかを関係者の証言をもとに明らかにするものです。
主に登場するのはアレハンドロ・ホドロフスキー監督。1969年の『エル・トポ』で初の深夜限定上映の作品でジョン・レノンやアンディー・ウォーホルなどを魅了し、一躍カルト監督となった人です。その後も『ホーリー・マウンテン』(1973)、『サンタ・サングレ』(1989)など作った作品がほとんどカルト映画になるという世界中に多数の信者を持つ人です。哲学的、神話的、東洋思想の混入、父と子の葛藤といった真面目なテーマが描かれつつも、猥雑で暴力的な描写があるという芸術映画的でありながら俗っぽい不思議なバランスの作風が特徴です。たぶん見ても良く分からないと思います。とりあえず僕は理解しきれていない!でもイイ!そんなホドロフスキー監督は御年85歳。年齢を感じさせないほどの熱量ほとばしるトークを聞いているだけでもものすごく面白い!40年ぐらい前のことなのに、つい最近のことのようにライブ感たっぷりに話す様は監督のことを全く知らなくても爆笑をもたらしてくれますぞ!
インタビューで話される内容を詳しく書いては見る意味が無くなってしまいそうなので、少しだけ。
ホドロフスキー監督はフランスのプロデューサー、ミシェル・セドゥと組んで『デューン』を映画化することを決めました。監督は当時ベストセラーになっていた原作の哲学性や神秘性に苦戦しつつも映画向けに脚色します。ドラッグがなくともあの昂揚感やスピリチュアルな体験をもたらす、世界を変える映画を作りたい!と意気込む監督はこの映画に関わる人間はすべて魂の戦士だとして、仲間集めを始めます。この時点でRPGかっ!とツッコミが入ると思いますが、そのものズバリの展開を本当にしていくからびっくりです。最初に出会ったのはフランスのバンドデシネ作家のメビウス。彼の作品に自分に通じるビジュアル感覚を感じ取った監督は絵コンテの執筆をメビウスと共同で進めます(ホドロフスキーは漫画家でもある!)。その次は視覚効果の専門家が必要と考え、『2001年宇宙の旅』を手掛けたSFの視覚効果の第一人者であるダグラス・トランブルにコンタクトを取ります。ですが、監督はトランブルを魂の戦士ではないとして却下。代わりに任せたのが、ジョン・カーペンター監督の初長編で、自主製作SFの『ダーク・スター』の特殊効果を手掛けていたダン・オバノン。当時はほぼ無名でしたが、後に『エイリアン』(1979)の脚本を手掛けたことで有名になりました。
その後も魂の戦士を集める物語が語られていきますが、キャスティングに関する話は凄すぎます。ミック・ジャガー、『市民ケーン』の面影がまるでなくなるほどにデブデブになっていたオーソン・ウェルズ、画家のサルバドール・ダリ・・・とまさか過ぎるキャスティングを集める旅の話は詳しくは見ていただくとして、RPGのごとくボスキャラに挑む監督の交渉テクには笑います!さらには劇伴にピンク・フロイドを起用するなど実現していたらとんでもない映画になっていたことは間違いないことが分かります。
そんな『DUNE』でしたが、撮影前に製作中止の憂き目に・・・。でも、絵コンテが業界内に出回っていた『DUNE』は後々のSF映画に大きな影響を及ぼすこととなりました。『スターウォーズ』(1977)ビジュアルや設定はかなり影響されていますし、前述の『エイリアン』ではダン・オバノン、H・R・ギーガー、クリス・フォスと『DUNE』の主要スタッフが名を連ねており、彼らはSF映画の業界で第一線で活躍するようになります。ホドロフスキー監督に触発されて『オンリー・ゴッド』(2013)を撮ったニコラス・ウィンディング・レフン監督のような人もいます。ホドロフスキー監督自身もドキュメンタリーをきっかけに20年以上ぶりに新作『リアリティのダンス』を撮りました。こうして考えてみると挫折に終わった企画も全く無駄であったわけではないんだなと分かります。やはり、たとえ失敗はしても努力した事実は重要ってことですよ。
ドキュメンタリーでありますが、感動も爆笑もあり、明日生きる元気をもらえる本作は日々の仕事で疲れているような方に特にお勧めです!ホドロフスキーのありがたい説教を聞きにぜひ劇場へ(笑)!
絵コンテを元に簡単なアニメーションが出てくるのですが、これだけでもすごい映画なのだなと伝わってくるので(特に『コンタクト』(1997)に影響を与えたと思しきオープニングのインパクトよ!)、今からでもいいんで、ポンと一億ドルぐらい出してホドロフスキー監督に好き放題やらせてくれる金持ちいないもんかなー、とも思ってきました。
そういえば、デヴィッド・リンチ監督による『デューン 砂の惑星』(1984)もありましたね。まぁ、あれは・・・(笑)
本作はドキュメンタリーなのであまり解説するようなことはなく、予告編を見てピンときた方は見ていただければ問題ないと思いますが、簡単に内容とホドロフスキーについて書いておきます。
このドキュメンタリーは70年代前半にプリプロダクションの段階まで進んだものの、撮影に入る前に製作が中止されてしまった『DUNE』がいかなる構想のもので、いかに後のSF映画に影響に与えたのかを関係者の証言をもとに明らかにするものです。
主に登場するのはアレハンドロ・ホドロフスキー監督。1969年の『エル・トポ』で初の深夜限定上映の作品でジョン・レノンやアンディー・ウォーホルなどを魅了し、一躍カルト監督となった人です。その後も『ホーリー・マウンテン』(1973)、『サンタ・サングレ』(1989)など作った作品がほとんどカルト映画になるという世界中に多数の信者を持つ人です。哲学的、神話的、東洋思想の混入、父と子の葛藤といった真面目なテーマが描かれつつも、猥雑で暴力的な描写があるという芸術映画的でありながら俗っぽい不思議なバランスの作風が特徴です。たぶん見ても良く分からないと思います。とりあえず僕は理解しきれていない!でもイイ!そんなホドロフスキー監督は御年85歳。年齢を感じさせないほどの熱量ほとばしるトークを聞いているだけでもものすごく面白い!40年ぐらい前のことなのに、つい最近のことのようにライブ感たっぷりに話す様は監督のことを全く知らなくても爆笑をもたらしてくれますぞ!
インタビューで話される内容を詳しく書いては見る意味が無くなってしまいそうなので、少しだけ。
ホドロフスキー監督はフランスのプロデューサー、ミシェル・セドゥと組んで『デューン』を映画化することを決めました。監督は当時ベストセラーになっていた原作の哲学性や神秘性に苦戦しつつも映画向けに脚色します。ドラッグがなくともあの昂揚感やスピリチュアルな体験をもたらす、世界を変える映画を作りたい!と意気込む監督はこの映画に関わる人間はすべて魂の戦士だとして、仲間集めを始めます。この時点でRPGかっ!とツッコミが入ると思いますが、そのものズバリの展開を本当にしていくからびっくりです。最初に出会ったのはフランスのバンドデシネ作家のメビウス。彼の作品に自分に通じるビジュアル感覚を感じ取った監督は絵コンテの執筆をメビウスと共同で進めます(ホドロフスキーは漫画家でもある!)。その次は視覚効果の専門家が必要と考え、『2001年宇宙の旅』を手掛けたSFの視覚効果の第一人者であるダグラス・トランブルにコンタクトを取ります。ですが、監督はトランブルを魂の戦士ではないとして却下。代わりに任せたのが、ジョン・カーペンター監督の初長編で、自主製作SFの『ダーク・スター』の特殊効果を手掛けていたダン・オバノン。当時はほぼ無名でしたが、後に『エイリアン』(1979)の脚本を手掛けたことで有名になりました。
その後も魂の戦士を集める物語が語られていきますが、キャスティングに関する話は凄すぎます。ミック・ジャガー、『市民ケーン』の面影がまるでなくなるほどにデブデブになっていたオーソン・ウェルズ、画家のサルバドール・ダリ・・・とまさか過ぎるキャスティングを集める旅の話は詳しくは見ていただくとして、RPGのごとくボスキャラに挑む監督の交渉テクには笑います!さらには劇伴にピンク・フロイドを起用するなど実現していたらとんでもない映画になっていたことは間違いないことが分かります。
そんな『DUNE』でしたが、撮影前に製作中止の憂き目に・・・。でも、絵コンテが業界内に出回っていた『DUNE』は後々のSF映画に大きな影響を及ぼすこととなりました。『スターウォーズ』(1977)ビジュアルや設定はかなり影響されていますし、前述の『エイリアン』ではダン・オバノン、H・R・ギーガー、クリス・フォスと『DUNE』の主要スタッフが名を連ねており、彼らはSF映画の業界で第一線で活躍するようになります。ホドロフスキー監督に触発されて『オンリー・ゴッド』(2013)を撮ったニコラス・ウィンディング・レフン監督のような人もいます。ホドロフスキー監督自身もドキュメンタリーをきっかけに20年以上ぶりに新作『リアリティのダンス』を撮りました。こうして考えてみると挫折に終わった企画も全く無駄であったわけではないんだなと分かります。やはり、たとえ失敗はしても努力した事実は重要ってことですよ。
ドキュメンタリーでありますが、感動も爆笑もあり、明日生きる元気をもらえる本作は日々の仕事で疲れているような方に特にお勧めです!ホドロフスキーのありがたい説教を聞きにぜひ劇場へ(笑)!
絵コンテを元に簡単なアニメーションが出てくるのですが、これだけでもすごい映画なのだなと伝わってくるので(特に『コンタクト』(1997)に影響を与えたと思しきオープニングのインパクトよ!)、今からでもいいんで、ポンと一億ドルぐらい出してホドロフスキー監督に好き放題やらせてくれる金持ちいないもんかなー、とも思ってきました。
そういえば、デヴィッド・リンチ監督による『デューン 砂の惑星』(1984)もありましたね。まぁ、あれは・・・(笑)
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