今回紹介するのは『マシンガン・プリーチャー』(2011年・米)現在もスーダンで活動を続けている牧師のサム・チルダースの活動をもとにした映画です。
「マシンガン・プリーチャー」タイトルはそのまんまの意味でして、牧師である主人公のサム・チルダースがマシンガンを手に戦っていることから由来します。タイトルから想像すると牧師がマシンガンを撃ちまくり、大暴れするB級作品のようですが、実際は真面目な映画で激しい銃撃戦はほとんどありません。なので『男たちの挽歌』のような撃ちまくりを期待してみるとがっかりすると思います。戦うようになるまでに一時間ほど使っていますし、その間にアクションやサスペンスがあるわけではないのでアクション好きはダレると思います。アクション映画ではないにしても大して盛り上がるシーンがないので2時間強の上映時間は正直長い。
ジャケットからはアクションものを期待してしまうが・・・
とりあえずストーリーの紹介
バイカーギャングで麻薬密売人のサム・チルダースは刑期を終えて出所するも、相変わらずギャング仲間とつるみ、更生した様子はない。ギャング仲間と強盗をやって帰る途中、ヒッチハイクしていたホームレス風の男を車に乗せてあげるも、男に襲われる。思わず反撃したサムは勢い余って男を殺してしまう。罪の意識を持ってしまったサムは夫の服役中にキリスト教徒となった妻の勧めで自分もキリスト教の教えに目覚める。真面目に働くようになったサムは建設業を始め、新たに家を建てることもできた。教会の活動の一環でウガンダに行った際に隣国スーダン
での内戦の惨状と少年兵の存在を知ったことで、スーダンの子供たちのために活動することを決心するのだった。反政府勢力LRA(=Lord's Resistance Army)の攻撃から子供たちを守るために銃をとって戦うサム。孤児院を完成することはできたが資金難から活動は思うようにできないことで苛立ちを募らせる。家族や仲間と次第に衝突するようになるが、孤児の少年の言葉で大切なことを再認識したサムは家族との関係を修復でき、活動を続けるのだった。
オチがある映画でもないのでラストまで書いてしまいました。まぁ、いいか。
元ギャングで戦う牧師というむちゃくちゃな主人公は映画版の『オペラ座の怪人』で怪人ファントムや『300』でカブトムシ腹のスパルタの王を演じたジェラルド・バトラー。彼は製作もやっています。監督は『007 慰めの報酬』やブラッド・ピット主演のゾンビ映画で夏に公開の『ワールド・ウォーZ』のマーク・フォースター。二人とも仕事ぶりは悪くはないのですが、今作はあまり良い出来とは思いません。やはり上映時間の長さや、盛り上がりのなさがネックです。少年兵や内戦の描写も甘いように思えてしまいました。この点は2006年の『ブラッド・ダイヤモンド』の方が少年兵の描写がきちんとされていたと思うし、アクション映画としての出来も良かったです。
実在の人物を元にしているので仕方のないこととは思いますが、主人公に共感することはできませんでした。キリスト教に目覚める過程があっさりしていてそんなんでいいの?となってしまいましたし、牧師でありながら反乱軍を平気で撃ち殺すのもちょっと・・・。罪の意識はないのでしょうか?クレジットの部分でサム・チルダース本人が出てきて「自分の活動を正当化するつもりはない。だが、自分の子供が誘拐されたらどうする?」というのですが、理解できることであり、恐ろしいことでもあります。要するに「やられたらやり返せ」ということになるのでですが、子供たちのためとはいえ、サムの行為は殺人であり、アメリカ西部開拓期の自警主義と同じです。2010年の『未来を生きる君たちへ』は憎しみの連鎖を断ち切ることを主題としていました。この作品にあるように、内戦が続く原因の一つには「やられたらやり返せ」という考えがあります。どちらかが戦いをやめない限り戦争は終わりません。理想論でしかないかもしれませんが、そう思っています。
見ている途中で気付いたことですが、サムはは1976年の『タクシー・ドライバー』の主人公トラヴィスに近い人物なのではないかと思ってしまいました。この映画の中で孤独な青年トラヴィスは「世間のゴミ」を処分するべく、銃をとり、最後は売春宿のポン引きを皆殺しにします。あたかも自分が神の代行者として裁きを下すように。自分の建てた教会で熱心に説教し、「子供たちのため」に殺人を繰り返すサムはトラヴィスと重なって見えてしまいました。
「マシンガン・プリーチャー」タイトルはそのまんまの意味でして、牧師である主人公のサム・チルダースがマシンガンを手に戦っていることから由来します。タイトルから想像すると牧師がマシンガンを撃ちまくり、大暴れするB級作品のようですが、実際は真面目な映画で激しい銃撃戦はほとんどありません。なので『男たちの挽歌』のような撃ちまくりを期待してみるとがっかりすると思います。戦うようになるまでに一時間ほど使っていますし、その間にアクションやサスペンスがあるわけではないのでアクション好きはダレると思います。アクション映画ではないにしても大して盛り上がるシーンがないので2時間強の上映時間は正直長い。
ジャケットからはアクションものを期待してしまうが・・・
とりあえずストーリーの紹介
バイカーギャングで麻薬密売人のサム・チルダースは刑期を終えて出所するも、相変わらずギャング仲間とつるみ、更生した様子はない。ギャング仲間と強盗をやって帰る途中、ヒッチハイクしていたホームレス風の男を車に乗せてあげるも、男に襲われる。思わず反撃したサムは勢い余って男を殺してしまう。罪の意識を持ってしまったサムは夫の服役中にキリスト教徒となった妻の勧めで自分もキリスト教の教えに目覚める。真面目に働くようになったサムは建設業を始め、新たに家を建てることもできた。教会の活動の一環でウガンダに行った際に隣国スーダン
での内戦の惨状と少年兵の存在を知ったことで、スーダンの子供たちのために活動することを決心するのだった。反政府勢力LRA(=Lord's Resistance Army)の攻撃から子供たちを守るために銃をとって戦うサム。孤児院を完成することはできたが資金難から活動は思うようにできないことで苛立ちを募らせる。家族や仲間と次第に衝突するようになるが、孤児の少年の言葉で大切なことを再認識したサムは家族との関係を修復でき、活動を続けるのだった。
オチがある映画でもないのでラストまで書いてしまいました。まぁ、いいか。
元ギャングで戦う牧師というむちゃくちゃな主人公は映画版の『オペラ座の怪人』で怪人ファントムや『300』でカブトムシ腹のスパルタの王を演じたジェラルド・バトラー。彼は製作もやっています。監督は『007 慰めの報酬』やブラッド・ピット主演のゾンビ映画で夏に公開の『ワールド・ウォーZ』のマーク・フォースター。二人とも仕事ぶりは悪くはないのですが、今作はあまり良い出来とは思いません。やはり上映時間の長さや、盛り上がりのなさがネックです。少年兵や内戦の描写も甘いように思えてしまいました。この点は2006年の『ブラッド・ダイヤモンド』の方が少年兵の描写がきちんとされていたと思うし、アクション映画としての出来も良かったです。
実在の人物を元にしているので仕方のないこととは思いますが、主人公に共感することはできませんでした。キリスト教に目覚める過程があっさりしていてそんなんでいいの?となってしまいましたし、牧師でありながら反乱軍を平気で撃ち殺すのもちょっと・・・。罪の意識はないのでしょうか?クレジットの部分でサム・チルダース本人が出てきて「自分の活動を正当化するつもりはない。だが、自分の子供が誘拐されたらどうする?」というのですが、理解できることであり、恐ろしいことでもあります。要するに「やられたらやり返せ」ということになるのでですが、子供たちのためとはいえ、サムの行為は殺人であり、アメリカ西部開拓期の自警主義と同じです。2010年の『未来を生きる君たちへ』は憎しみの連鎖を断ち切ることを主題としていました。この作品にあるように、内戦が続く原因の一つには「やられたらやり返せ」という考えがあります。どちらかが戦いをやめない限り戦争は終わりません。理想論でしかないかもしれませんが、そう思っています。
見ている途中で気付いたことですが、サムはは1976年の『タクシー・ドライバー』の主人公トラヴィスに近い人物なのではないかと思ってしまいました。この映画の中で孤独な青年トラヴィスは「世間のゴミ」を処分するべく、銃をとり、最後は売春宿のポン引きを皆殺しにします。あたかも自分が神の代行者として裁きを下すように。自分の建てた教会で熱心に説教し、「子供たちのため」に殺人を繰り返すサムはトラヴィスと重なって見えてしまいました。
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