雑多庵 ~映画バカの逆襲~

管理人イチオシの新作映画を紹介するブログです。SF、ホラー、アクション、コメディ、ゲーム、音楽に関する話が多め。ご意見・ご感想、紹介してほしい映画などあれば「Contact」からメッセージを送ってください。あと、いいお金儲けの話も募集中です。

今回はクリスマスということで、クリスマスだけど特に予定はなく、世間がクリスマスムードになっているにうっとうしく感じている方々、とも限りませんが(笑)、なんか面白いクリスマス映画ないかなー、と思っている方向けに四本セレクトしてみました。ほとんど管理人の思いつきなのでセレクトはえー加減ですw 管理人的にはかなり好きな四本で、「クリスマスなんか滅びろ!」と思っている人には特に見てほしい作品ばかりです!

一本目『グレムリン』(1984)
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普段はかわいいけど、約束を破るととんでもない化け物と化してしまうのはなんか核兵器みたいな・・・

クリスマスプレゼントに主人公のボンクラ青年はモグワイという生物をもらいます。このモグワイを飼うには破ってはならない3つのルールがあって、1.モグワイは光が苦手、2.水に触れさせてはならない、3.真夜中すぎにエサを与えてはならないというものです。もちろん、ルールはあっさりと破られ、水をかけてしまうとモグワイが分裂してしまいます!分裂したモグワイは凶暴になっており、さらに3つ目のルールを破ったことでヴィジュアルまで凶悪な「グレムリン」軍団となってしまうのです!

このグレムリン軍団は凶悪なのですが、誰もが一度は抱く世界をぶっ壊してみたい衝動を実現し、悪事(というより攻めたイタズラ)をしまくる様子は痛快にも思えてきます。ファミリー向け映画にも関わらず、強盗・飲酒・喫煙・器物破損といった「教育上よろしくないこと」がたっぷりと描かれるのがとんでもないなとw しかも、グレムリンの造形がグロテスクでけっこう不気味で、ホラー映画の『チャイルド・プレイ』のようなホラー風味のシーンまであって、さすがのスピルバーグ製作だと思える、子どもにトラウマを与えて後の人格形成に影響を与える教育的効果もある映画になっています!


『チャイルドプレイ』(1988)より。これを観ておくと雰囲気似てるなと思う場面もあるはず

二本目は『バッドサンタ』(2003)
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この悪~い感じのサンタのビジュアルで本作が単なるハッピーな話ではないと分かるでしょう。
アメリカのデパートではサンタを雇い入れて、子供たちからクリスマスに欲しいものを聞き出すイベントをよくやっています。サンタの膝に子供を乗せてほしいものを聞き出しているのをその親が聴いているわけです。デパートの中ですから、そこで買っていこうかなとなるという、要するにマーケティング戦略の一つです。そのサンタのバイトをやっているのがこの悪~い顔のサンタなんですよ。顔が悪いだけではなくて、このサンタ、飲んだくれで女好きでして、冒頭からゲロ吐きw。お店の試着室でヤっちゃうし、子ども嫌いでおデブな子供が膝に乗ってくると「早くどけよデブ!」と言うわ、しまいには飲み過ぎで仕事中に失禁ww

こんなひどい話ですが、主人公を本物のサンタと信じるいじめられっこの少年と出会ったことで雰囲気が変わっていきます。最後にはクリスマスも悪くねえや!と思えてくるようないい話で終わりますので是非ご覧ください!



三本目は『バットマン・リターンズ』(1992)
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真ん中がバットマンじゃないのがポイント

ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)の続編ですが、前作は観ていなくてもOKです。主人公のブルース・ウェインが引きこもりの大富豪で、夜な夜なバットマンとなって悪人たちを倒して回っているという基本設定が理解できていれば十分。まぁ、普通に考えたらコウモリ型のスーツを着て出歩いているバットマンは頭のおかしい人なわけで、悪人たちも狂っていますが、主人公も狂っているというクレイジー極まりない話です。

しかも、本作は主人公であるはずのバットマンはほとんどオマケで、真の主人公は画像中央のキャット・ウーマンだったりします。企業の裏を知ってしまったことで殺され、猫パワーで蘇った女性が世の中すべてに復讐したる!とばかりにスーツを作り、ピンク色の自室を黒く染めていくシーンはかっこいい!

本作は悪人と主人公の区別が崩壊していますが、写真左のペンギン(通称)が一応悪人役です。でも、奇形だからという理由で捨てられてペンギンに育てられた境遇から表の世界へと這い出ようとする彼の行為は悪とも言い切れなかったりもします。もちろん、映画における悪人は生きながらえることはめったになく、ペンギンも例外ではありません。キャット・ウーマンもそうですが、世間から迫害された人が世間に刃向った末に散っていく話のようにしか思えなくなってきて、ラストはホワイト・クリスマスでもとても寂しい感覚で終わります。終盤の大量のミサイルを背負ったペンギン(こっちは動物の方)が登場するシーンの迫力はスゴイですし、その他にも凝った美術が見ものです。



四本目は『東京ゴッドファーザーズ』(2003)
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このローライフぶりを見よ!

2010年に若くして亡くなったアニメーション監督の今敏さんが手がけた最もハッピーな映画です。今監督の作風は現実と妄想が混然一体となっていくクレイジーさを非現実であるアニメーションのなかで徹底して描いていことで観る側を混乱させていくスタイルなのですが、本作はそれを抑えた人情味が溢れたコメディです。今監督は長編が『ブラック・スワン』の元ネタと言われている『PERFECT BLUE』(1997)、1000年分の人生を演じた女優の映画と人生が入り混じった一代記『千年女優』(2002)、筒井康隆原作の『パプリカ』(2006)と本作の四本だけですが、どれもがレベルが高く、もっと長生きしていれば宮崎駿ばりの巨匠になったのではと思えて残念でなりません。

ハッピーな話ですが、登場人物はエッジが利いてまして、主人公の三人組はホームレス、家出少女、自称元競輪選手のオッサン、オカマとなってます。この三人がゴミ山をあさっていると、赤ん坊を見つけまして、どうにかして面倒見てやろうじゃないかと奮闘する話となっています。果たして子どもの親は見つかるのでしょうか?それぞれワケありの三人の過去を持つ負け組三人がクリスマスの奇跡を起こすという今回紹介した4本の中で最も人間の善意が描かれるいい話となってまいす。クリスマスといえば明るいイルミネーションに山下達郎の曲に恋人たちのロマンスというイメージかもしれませんが、そのイメージに乗れない人も世界中にいるし、中には冬を越すにも一苦労な人々もいるのです。本作は底辺で生きる人々の生活描写がなかなか充実していて、明るいばかりのクリスマスイメージに一石を投じる映画とも言えそうでした。



今回の4本はどれも楽しいばかりのクリスマス映画ではありません。でも、楽しいばかりのクリスマスを過ごしている人なんてほんの一握りじゃないかなと思うんですよ。だからこそ、こういう毒のあるクリスマス映画を観ることで救われるところもあるんじゃないかと思います。まぁ、こんな映画ばかり見ていると管理人のように人生こじらせかねませんので、注意!責任はとれませんから!
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