雑多庵 ~映画バカの逆襲~

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WOWOWで放送していたものをなんとなく観た

Team6.jpg


タイトルからは全く分からないが、キャサリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)で描かれたオサマ・ビンラディン暗殺作戦についての話。ヘリが出てくるけど、なんか安い映画だなーと思ったらテレビ向けの映画としてつくられたそうな。

はっきり言って普通の映画の域を出ないのだが、前述の『ゼロ・ダーク・サーティ』がCIA女性捜査官の視点で語られた物語で作戦の全体像がやや分かりにくくなっていたのに対し、本作はCIA、シールズ、現地の協力者の三者の視点で構成されているので作戦の動きが分かりやすくなっている。どこまで事実に忠実かは不明だが、えー加減な雰囲気もしなかったし、納得のいく作戦展開をしていたので、ビンラディン暗殺についてサクッと学びたい人は『ゼロ・ダーク・サーティ』よりもこちらの方がいいかもしれない。

Zero Dark

『ゼロ・ダーク・サーティ』は正直地味というか、長いというか、ラストのところを含めて説教くさいテーマが見え隠れする感じがしたのだが、本作はさっきも書いた通り普通にアメリカ映画。シールズの面々が作戦をしらないままに訓練したり(ワンコが大活躍!)、内部の浮気問題でケンカしたり、作戦前に家族にSkypeしたりと精鋭部隊のシールズ隊員だって普通の人なんです!と何度も強調してくる。はっきり言ってこの部分がダルいのだが。管理人的には特殊部隊なんだからもっとストイックに仕事人に徹する様を見たかった。世間的にアメリカへの批判があった作戦なので、それを弁解するために「シールズの人間性」や、「地元の人間の協力者の存在」を押し出すことで正当化しようとしているのが見え見えである。

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アメリカの正当化と言う点では、『ゼロ・ダーク・サーティ』はそれを回避しようとはしている印象はあったが、結局は「アメリカに逆らうと大変なことになるぞ」という印象をも与える内容となっていたので、実は『ネイビーシールズ~』と大差はなかったりもする。

Captain.jpg
「アメリカに逆らうと大変なことになるよ」映画『キャプテン・フィリップス』
地元の海賊さんが輸送船の船長を誘拐したら海軍まで出てくる鬼畜っぷり。海賊さんが不憫で仕方ない

まぁ、思想的なところは置いておいて、本作の問題はやたらと劇中で隊員がヘルメットに着けたり、協力者が盗撮している小型カメラの映像を使うために何が起こっているのか分かりにくかったり、アクションの流れが途切れているようでイラつく編集となっていること。特にラストのビンラディン邸への突入シーンは緊迫感や特殊部隊の強さがこの編集のせいであまり伝わってこない。どうせ右翼映画なんだからもっと強い感じを出せよ!エミー賞(アメリカのテレビ業界の賞)では編集賞をとっているらしいが、ドキュメンタリー感を出す安易な手法として使われているようで気に入らん。この点、『ゼロ・ダーク・サーティ』の突入シーンは銃声の感じや、暗闇での作戦行動のスリリング展開、編集の感覚などが非常に上手いと思った。

Zero Dark Action
『ゼロ・ダーク・サーティ』のシールズの装備は超カッコイイ。サイレンサーを付けたときの銃声(実際には聞いたことないけど)がかなりそれっぽくなっているのでミリタリーマニアには最後のシーンだけでも見てほしい

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