今回はベネディクト・カンバーバッチがアカデミー賞にノミネートされたり、作品自体が脚色賞を受賞するなど話題性の高い『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』を紹介!それにしても邦題に説明的な副題をつけるのダサいからやめてほしいなぁ。
あらすじ
時は第二次世界大戦。ヨーロッパでは激しい戦闘が繰り広げられ、日々多くの死傷者を出していた。それはイギリスも例外ではなかった。連合軍側が苦戦した原因の一つがドイツ軍が大西洋に展開したUボート(潜水艦)による無差別攻撃である。これにより、民間船であっても容赦なく攻撃の対象となり、アメリカからの物資が届かないためにイギリスは兵糧攻め状態(イギリスは島国かつ、土地がやせ気味なために自給率はかなり低い輸入依存国である)になっていたのだ。そこで、攻撃を防ぐためにイギリス軍はドイツ軍の司令を解析しようとするのだが、ドイツ軍が開発した暗号変換マシン「エニグマ」によって作られた暗号をあまりに高度なために解読が一向に進まない。ついには民間人からも募って暗号分析チームを結成。その一人が数学者のアラン・チューリング博士であった。最強マシン、エニグマを制するための長い長い戦いが始まる・・・
チューリング博士って誰よ?
アカデミー賞効果なのか、カンバーバッチ効果なのか、はたまたレディースデイだったからなのか、平日14時ごろの回で150席がほぼ満席というものすごい入りでビビったのなんのって・・・
それはそうと、僕はチューリング博士の名前は「チューリング・テスト」で知っていたのですが、ご存知でしょうか?
これはあるマシンが思考する存在なのか否かを判断するためのテストで、人工知能の可能性を示唆するものでもあります。やり方は、まず質問者と回答者に分かれる。そして、質問者の人間が回答者のマシンの答えを人間のものと区別できるか判断する。それで人間の応えと区別できなくなった時点でマシンには知能が存在すると言える、というもの。
これは1950年の論文の中で発表されており、まだ「コンピュータ」の概念すらほとんどない時代にこんなことを考えていたから天才なんですなぁ。
そのチューリング博士が実は第二次世界大戦の終結を一気に早めた影の貢献者だった!というのが本作のミソです
眼には眼を、マシンにはマシンを!
エニグマは159×10の18乗通りの暗号パターンを作りだし、毎日解読キーを変えるものだから、人力の解読はまず無理ゲー。と言うことで、博士はスーパーコンピュータのような巨大マシンを作って一気に計算させてしまおうと考えるのですな。
グルグル回るメカ部や、コードむき出しの感じがいい。大きいマシンって燃えるよね!
対するエニグマ。タイプライターぐらいの大きさで連合軍を翻弄し続けた。これ作った人も天才じゃね?!
ただ、計算を機械に任せる!私のマシンなら必ずエニグマに勝てる!と豪語する天才の言っていることがおバカの軍上層部はまったく理解できないらしく、博士ほどでなくとも頭のいいチームメンバーは理解を示してくれ、助けてくれるというええ話にもなっております。
人生は嘘つきゲーム
これだけすごいことをやったチューリング博士ですが、この事実は戦後50年間にわたって公式の記録から封印されていました。これは、作戦が極秘だったからに他なりませんが、終戦後も公表されなかったのは暗号の解読が成功したことをあえてすぐには発表せずに国民を見殺しにしていたからなんですね。このあたりが戦争映画らしいというか、戦争のエグいところです。暗号が解読できたとしても、それをドイツ軍が知ってしまっては意味がなくなってしまう。だから、あえて解読できていないと嘘をつきつつ、重要な作戦に関する情報を得ては対策させ、情報源は適当にでっちあげるということをするわけです。解読できていないと思わせるには、数百人規模の犠牲には目をつむって、より大きな犠牲を出す作戦だけを選んで(ここでもチューリング博士は統計的に処理する数学者のスキルを存分に発揮)阻止していかないといけないと。軍人だけが戦争しているわけではないと強く思わされる話ですなぁ・・・むしろ計算で何万人の生死を決めているインテリ流の戦争の方が怖いな!それを言ったら隠している方も怖いけどねー。イミテーション(模倣)ゲームは博士の論文に出てくる話のようですが、ドイツ軍と博士たちとのこともいっているんですな。
何百人どころか、何千人も犠牲にしたとはいえ、チューリング博士が何万人も救ったのは確実なわけで、その点では戦争の英雄なんですけど、チームは称賛されることもなく解散。博士は世間的評価は気にしていないようだけど、嘘を抱え込む人生になった。まぁ、戦争に関する秘密はいいとして、博士にとっては個人的な秘密のほうが大きいのですよ。個人的な秘密を抱え続けていたのが問題なのか、はたまた天才すぎるが故の変態性なのか分かりませんが、映画のチューリング博士は「これは何か精神的な障害でもあるのでは?」と疑いたくなるほどに変です。変人レベルどころか、ちょっとヤバい雰囲気の博士をベネディクト・カンバーバッチが熱演しております。
異常に顔が長いのがチャームポイント(?)のカンババ
『ホビット』でモーキャプで演じていたスマウグ。爬虫類系の顔だからか、似てる気が・・・
博士の秘密に関しては見て確認してくれればと思いますが、今はジェンダーとかセクシャリティに関しては進歩的な雰囲気出しているイギリスですけど、ほんの数十年前までは自由も平等でもあったもんじゃないんだなと思わされましたよ。やっぱり、根底では差別が存在している国なんじゃないかと思います。そんなことで苦しんだチューリング博士が悲惨な最期だったのが可哀そうだなぁという話です。
戦争映画的には戦闘機や戦車の描写がえー加減だったと思いますし、派手さもエッジも欠けるので演出や新しさを重視する人にはそれほどお勧めしませんが、演技のレベルは高いし、テンポよく進んでいくのでダレることなく鑑賞できます。普通に面白いので、なにかいい映画見たいなー、と思っている人は見るといいと思いますよ。カンバーバッチのファンは必見です!笑
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あらすじ
時は第二次世界大戦。ヨーロッパでは激しい戦闘が繰り広げられ、日々多くの死傷者を出していた。それはイギリスも例外ではなかった。連合軍側が苦戦した原因の一つがドイツ軍が大西洋に展開したUボート(潜水艦)による無差別攻撃である。これにより、民間船であっても容赦なく攻撃の対象となり、アメリカからの物資が届かないためにイギリスは兵糧攻め状態(イギリスは島国かつ、土地がやせ気味なために自給率はかなり低い輸入依存国である)になっていたのだ。そこで、攻撃を防ぐためにイギリス軍はドイツ軍の司令を解析しようとするのだが、ドイツ軍が開発した暗号変換マシン「エニグマ」によって作られた暗号をあまりに高度なために解読が一向に進まない。ついには民間人からも募って暗号分析チームを結成。その一人が数学者のアラン・チューリング博士であった。最強マシン、エニグマを制するための長い長い戦いが始まる・・・
チューリング博士って誰よ?
アカデミー賞効果なのか、カンバーバッチ効果なのか、はたまたレディースデイだったからなのか、平日14時ごろの回で150席がほぼ満席というものすごい入りでビビったのなんのって・・・
それはそうと、僕はチューリング博士の名前は「チューリング・テスト」で知っていたのですが、ご存知でしょうか?
これはあるマシンが思考する存在なのか否かを判断するためのテストで、人工知能の可能性を示唆するものでもあります。やり方は、まず質問者と回答者に分かれる。そして、質問者の人間が回答者のマシンの答えを人間のものと区別できるか判断する。それで人間の応えと区別できなくなった時点でマシンには知能が存在すると言える、というもの。
これは1950年の論文の中で発表されており、まだ「コンピュータ」の概念すらほとんどない時代にこんなことを考えていたから天才なんですなぁ。
そのチューリング博士が実は第二次世界大戦の終結を一気に早めた影の貢献者だった!というのが本作のミソです
眼には眼を、マシンにはマシンを!
エニグマは159×10の18乗通りの暗号パターンを作りだし、毎日解読キーを変えるものだから、人力の解読はまず無理ゲー。と言うことで、博士はスーパーコンピュータのような巨大マシンを作って一気に計算させてしまおうと考えるのですな。
グルグル回るメカ部や、コードむき出しの感じがいい。大きいマシンって燃えるよね!
対するエニグマ。タイプライターぐらいの大きさで連合軍を翻弄し続けた。これ作った人も天才じゃね?!
ただ、計算を機械に任せる!私のマシンなら必ずエニグマに勝てる!と豪語する天才の言っていることがおバカの軍上層部はまったく理解できないらしく、博士ほどでなくとも頭のいいチームメンバーは理解を示してくれ、助けてくれるというええ話にもなっております。
人生は嘘つきゲーム
これだけすごいことをやったチューリング博士ですが、この事実は戦後50年間にわたって公式の記録から封印されていました。これは、作戦が極秘だったからに他なりませんが、終戦後も公表されなかったのは暗号の解読が成功したことをあえてすぐには発表せずに国民を見殺しにしていたからなんですね。このあたりが戦争映画らしいというか、戦争のエグいところです。暗号が解読できたとしても、それをドイツ軍が知ってしまっては意味がなくなってしまう。だから、あえて解読できていないと嘘をつきつつ、重要な作戦に関する情報を得ては対策させ、情報源は適当にでっちあげるということをするわけです。解読できていないと思わせるには、数百人規模の犠牲には目をつむって、より大きな犠牲を出す作戦だけを選んで(ここでもチューリング博士は統計的に処理する数学者のスキルを存分に発揮)阻止していかないといけないと。軍人だけが戦争しているわけではないと強く思わされる話ですなぁ・・・むしろ計算で何万人の生死を決めているインテリ流の戦争の方が怖いな!それを言ったら隠している方も怖いけどねー。イミテーション(模倣)ゲームは博士の論文に出てくる話のようですが、ドイツ軍と博士たちとのこともいっているんですな。
何百人どころか、何千人も犠牲にしたとはいえ、チューリング博士が何万人も救ったのは確実なわけで、その点では戦争の英雄なんですけど、チームは称賛されることもなく解散。博士は世間的評価は気にしていないようだけど、嘘を抱え込む人生になった。まぁ、戦争に関する秘密はいいとして、博士にとっては個人的な秘密のほうが大きいのですよ。個人的な秘密を抱え続けていたのが問題なのか、はたまた天才すぎるが故の変態性なのか分かりませんが、映画のチューリング博士は「これは何か精神的な障害でもあるのでは?」と疑いたくなるほどに変です。変人レベルどころか、ちょっとヤバい雰囲気の博士をベネディクト・カンバーバッチが熱演しております。
異常に顔が長いのがチャームポイント(?)のカンババ
『ホビット』でモーキャプで演じていたスマウグ。爬虫類系の顔だからか、似てる気が・・・
博士の秘密に関しては見て確認してくれればと思いますが、今はジェンダーとかセクシャリティに関しては進歩的な雰囲気出しているイギリスですけど、ほんの数十年前までは自由も平等でもあったもんじゃないんだなと思わされましたよ。やっぱり、根底では差別が存在している国なんじゃないかと思います。そんなことで苦しんだチューリング博士が悲惨な最期だったのが可哀そうだなぁという話です。
戦争映画的には戦闘機や戦車の描写がえー加減だったと思いますし、派手さもエッジも欠けるので演出や新しさを重視する人にはそれほどお勧めしませんが、演技のレベルは高いし、テンポよく進んでいくのでダレることなく鑑賞できます。普通に面白いので、なにかいい映画見たいなー、と思っている人は見るといいと思いますよ。カンバーバッチのファンは必見です!笑
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